一粒目 K視点 ページ1
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『俺はある日恋心を忘れた』
その前までは、少しチャラい普通の高校生だった。ずっと憧れていたこの高校に受かるために中学は必死で勉強して、無事合格する事ができたんだ。
入学してから色んな人と関わって、たくさんの人と友達になって何不自由のない高校生活を送っていたはずだった。
俺は中学の時からホ モで、女性をそういう目で見ることは叶わなかった。それにドタイプじゃない限り、普通に男友達と過ごすことが出来ていた。
その事を仲のいい友達は、把握していて気持ち悪がられる事無く、たまにネタにされて弄られる位になっていた。それには本当に感謝の気持ちしかない。
その後、迷い無く中学からやっているサッカー部に所属した。マネージャーの横尾さんと仲良くしてもらっている。
いつものように授業を適当に聞き流して、部活を必死に行い、帰りは友達と日が暮れるまで遊ぶという毎日を送っていた。そうすると時間はあっという間に過ぎて、俺は晴れて二年生になった。
サッカー部に入ってきた後輩とも仲良くなれて、何とかやっていけそうだ。けれど二年生に上がると同時に横尾さんに心配されるようになった。
その内容は、俺がホ モで弄られる事に心配していたのだ。
俺は不思議でたまらなかったが、いつもの横尾さんの母性が溢れているのだと気にしなかった。
この時、横尾さんの言うことを聞いていればと後悔する事になる。
いつものように廊下で、友達とじゃれ合いながら走り回っていた。
「おい!北山が俺達の事襲おうとしてるぜー!」
「なに言ってんだよ!そんな事言うならほんとに襲っちまうぞー?」
「うわっ!wこっちくんな!北山!」
「いいだろー!俺と良い事しようぜー!w」
「キャハハハハ」と笑いながら、中学生のような会話を繰り広げ、俺は逃げる友達を追いかけ回した。
周りの女子が冷たい目で此方を見ているのは分かっていたけれど、高揚された気持ちで、友達を止めることなくノリに乗って追いかけ続けた。
それが間違いだったんだ。あの時、俺が追いかけずに止めていたら、彼奴に会うことは無かったのに。
自分の視界から完全に周りの様子が眼中に入らなくなったとき俺は顔面から誰かにぶつかってしまった。
部活で身体を鍛えているため、それなりに体幹は付いてると思っていたが、その誰かにぶつかった瞬間足がもつれてしまい、相手は一切動いてなかった。
少し痛みが染みる顔面を手で押さえて、指の隙間から相手の顔を伺うように覗く。するとその先には昔好きだった藤ヶ谷がいた。
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作者名:supia | 作成日時:2021年10月19日 21時