おとなりさんとの恋愛事情。-Ki-

精一杯の言葉 ページ11

.





「ただいまー！」










返事の帰ってこない部屋だって、今日はさみしくない。



なんなら気分は良いかんじだし、心の中はあったかく感じる。










「よいしょ、っと…」










近くのスーパーで調達した食材の入った買い物袋をテーブルの上に置いて。



先程帰り際にあかりちゃんと交換したLINEの画面を開いて見つめる。










高校生になり親に持たされた携帯電話も、連絡先なんて埋まることはなかった。



家族か親戚の名前のみの連絡帳にさみしく感じてた以前の私。










＞今日はありがとうございました。










可愛げもない



それでも私の精一杯の言葉。










ーーー♪〜










すぐに既読という文字がついて、鳴り響いた通知音と現れた文章。










＞こちらこそ(≧∇≦*)










あ、顔文字…



付けた方がよかったな……



そんなことを思いながらも、他に返す言葉も浮かばず。



勝手に自己満足して、その画面を閉じた。










「…よしっ」










今日の夕飯は久しぶりに手の込んだものにしてみようかな、なんて。



気合を入れて作り始めてみたら、思いのほか大量に出来てしまった料理たち。



一人暮らしでは到底食べきれない量の肉じゃがが自画自賛するほどのいい匂いを放ってる。










「…まぁいっか」










小分けにして冷凍しとこう、と決めて



とりあえず今からの分を小鉢に取り分ける。










ーーーピンポーン










えー



なんでこのタイミングなのー……










ーーーピンポーン ピンポーン










「んーーーもうっ！！！！！」










食べる準備は満タンだったのに。



心の中で小さく叫びながらインターフォンのモニターを睨みつけた。







.

女の子→←一歩一歩

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す