17話 監視対象が移動したので尾行(ストーカー)する ページ28
「先生ッすげー頭痛いんで早退しますッ」
「えっ!? ちょ…城田!?」
ぴゃっ とリュックを担いで逃げるように城田くんが教室を出た。
…こうしちゃ居られない…。早く追わないと…。 此処は城田くんの真似をしよう。
「先生…痛いのは慣れてますが、腹痛・頭痛・腰痛が…えと…兎に角、帰らせて頂きますっ…」
「Aまで! 無表情で言われてもなぁ!?」
痛い事が慣れているため何が良いか分からず、咄嗟に痛いと思われる物を全部言ってみたら嘘っぽくなったなぁ…。
うん…もう良いや、と私は颯爽と教室を出る。
クラスがざわついているのが廊下まで聞こえるが無視無視。…さあ、城田くんを追おう。
でもコレ…恐れていたストーカーみたいになったかも…。
城田くんを追いかけて何分たった?
一行に距離が縮まないんだけど…。
流石、男子で元陸上部。足が速い。
…追いかけている途中で四ツ葉が今日は学校まで迎えに行くと言っていた事を思いだし、事情をLINEで説明した。すると…
『謎の行動力乙。気が済んだらまた連絡して。迎えに行くから』
直ぐ様連絡が来た。けど…気が済んだら、とか言わないで…本当にストーカーしてるみたいじゃん…。
数分後…城田くんが走るのを止めて歩き始めたが…バレちゃダメなんだよね。なので一定の距離を保ちながら監視する。…マジでストーカーみたいだね畜生。
距離を取っている為、会話までは聞こえないが
城田くんは怠惰の真祖…今の名をクロ…だっけ。肩に乗せて歩いている。
“椿”は他の真祖を狙っているが…今の所大丈夫そうだな。
…そう思っていた矢先…
―ざあ、ザアァっ
急に降ってくる天気雨。
空は晴れているのに…。狐の嫁入りとも言うんだっけ? 干してた洗濯物大丈夫かな? 干したの四ツ葉だけど。
…まあ、そんな事よりも…
コン、コンッ
…天気雨が振り出してから…甲高い音が響いている。都会のアスファルトに何かが打ち付けられている音…何だか嫌な予感がする…。…そして…。
コンッ!
今までで1番大きく、甲高い音が響いた。次の瞬間…城田くんの回りに白い霧が発生し、彼らを包み込む。
アレは…アレの中に入ると…人も車も…何もない町に送り込まれてしまう。
「逃げてっ城田く…」
駆け寄り、手を伸ばそうとしても彼は私に気づくことなく、その場から姿を消した。
あの空間に取り込まれてしまった…。
…不覚…。
…でも取り敢えず連絡をしなくては。
幻術が得意なリリイさんだったらどうにかなるかも…。
18話 和服サングラスに捕まった→←16話 逆エビ固め は、危険なので程ほどに
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作者名:キタペン | 作成日時:2018年9月14日 18時