検索窓
今日:7 hit、昨日:6 hit、合計:36,548 hit

13話 無償の愛 ページ24

―無償の愛

ソレは見返りを求めない愛の事。四ツ葉が私に向けている愛は、無償の愛だとリリイさんは言った。でも、本当にそうなんだろうか…。

「ねぇ四ツ…むぐっ…」

朝同様口を塞がれる。まぁ今度はソフトなキスでは無く…深いキスをして来たのだが。
四ツ葉はたまに、こういったキスもしてくる。特に私の血を吸った日とか…。
軽やかな水音が耳元で響く。こう言う時って…目のやり場が分からないので、目を瞑ってしまうのが癖だな。
…暫くすると はぁっ… と、色っぽい息と共にキスが止む。四ツ葉は私の頭を撫でながら抱き締め、微笑んだ。

「A…。あっ、ゴメン…先に何か言いかけてたな。何? どうかした?」
「…うぅん、何でも無い。四ツ葉こそ何?」
「あぁそう。 ただ…愛してる って言いたかっただけ」
「うん…そっか」

今度は強く抱き締め、四ツ葉は再び私に深いキスを始めた。

―ゴメンね…四ツ葉。愛してるって言えなくて。

だから代わりに私は…四ツ葉が求める事は、出来る範囲なら答えようとしている。キスもハグもその内の1つだ。
でも、今日の四ツ葉は何だか何時もと違う。
…2回目の深いキスが終わって直ぐに、「…四ツ葉…今日は何時もと違うね」と声を掛けた。

「…そう、かもな。何か自分でもそんな感じするし…」

「何かカッコ悪いな」と溜息を吐いた後…

「まぁ、強いて言うなら…」

困った笑顔を私に向けながら、こう告げて来た。

「不安、なのかもな。…A、城田 真昼 の監視するんだろ。“1番目”の主人の。…真祖7人兄弟は椿に執着されてるから…何か事件に巻き込まれたりしないか…とか」

私の肩に顔を埋めて四ツ葉は ボソボソっ と呟く。私は四ツ葉の頭を撫でながら「心配してくれてありがとう」とお礼を告げた。

「何か起きたら俺を頼れ。良いな?
…お前があの家や兄さんの役に立ちたいのは分かる。でも無茶はするな。お前が怪我をしても“有栖院”の人間は喜ばないし…何より俺もイヤだ」

四ツ葉は私を更に強く抱き締め、こう続けた。

「俺はお前を愛してる。お前は俺の“宝物”なんだ…」

…宝物、なんて…まるで親が子に言うような事、言うね…。
親の愛…それこそ無償の愛に近いんじゃないか、と思ったが…四ツ葉は何の前触れも無く、私に本日3回目の深いキスをし始めた。

…コレは違うのかも。
…だって、親が子にこんなキスしたら大問題になるし。

14話 次の日の学校→←12話 愛についてpart3



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.6/10 (28 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
28人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:キタペン | 作成日時:2018年9月14日 18時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。