76話 共闘ビースターズ！ ページ12
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黒いモヤのようなものがレオナの首を締め付ける。
それ以外にも従者を苦しめているモヤのようなものが。
あれから、睡眠薬を盛った従者が体術と魔法を駆使して殺そうとしてきた。
捨て身の行動とも取れるそれは、きっと誰か(というよりレオナを嫌う貴族の一団にだろう)に脅されたか、単純にレオナを憎んでいたか、熱砂の国が気に食わないのか・・・。
思っても仕方のない事をレオナは考える。
オーバーブロットをしてしまった魔法士に敵う手はあらかた使い尽くした。
もう、死ぬしかないのだろうか。
そんな諦めが頭をよぎった。
諦めるのにはなれている。
流石に生きるのを諦めるのは初めてだが。
だが、ただ死ぬのでは惜しい。このままではこの男が生き永らえるにしても死ぬにしても、熱砂の国との戦争は避けられないだろう。それだけは避けなくてはならない。
砂漠という場所では証拠となる物を残すのは難しいだろう。風で全てのものが消え失せるのだから。
連絡手段は全て叩き壊された。
どうすればいい。どうするべきだ。
ぎりぎりと首を絞められているために朧げになってきた意識の中で頭を動かす。
その時。
空気を切り裂く音が聞こえ､レオナの首を締め付けていた黒いモヤが消えた。
「【愚者の行進(ラフ・ウィズ・ミー)】！
みなさん、精一杯逃げ切るっすよ！」
ラギーが土魔法の応用で作ったであろう土人形を己に見立て、立つのもやっとだった従者たちを車の方へ走らせた。
オーバーブロッドした従者がそちらに気を取られていると、背後から人影が飛び出してきた｡
その人影はそのまま背中にタックルを食らわせて、腰あたりに抱きつく。そうしてそのまま体を海老反りにして所謂ジャーマンスープレックスを決め込んだ｡
しかし相手もそのまま伸されるようなヤワな育ち方はしておらず、後ろに手を回し、そのままその人影を放り出す｡
グレイアッシュの髪､同色の意志の強さを伺わせる瞳と、目が合った｡
ぐらり､視界が回る｡
「──ｯレオナ様！」「レオナさん！」
2つの声｡
倒れそうになるのを何とか踏ん張って､「俺よりアイツを何とかしろ！」と叫んだ｡その声に反応するがごとく､従者が動く｡
ゆらり、ふらり。まるで操り人形のよう｡
「あハ、アはハ。今サラ来たとコろで、もゥ何もかも無駄ﾅﾝﾀﾞょ」
そういう従者に､いの一番に飛びついたAは､ブロッドが溜まり真っ黒になった魔法石を手にしようと､従者の肩関節を外した｡
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作者名：はなじま。 | 作者ホームページ：http://uranai.
作成日時：2022年1月18日 18時
