北さんの弱点 ２

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『出掛けるの！ほっといて、しっし』


侑「誰と？そんな足出して寒いやろ」


『ばか！触るな！』




うう、先輩来たらみんなで
とかになるかも知れない

早くどっか行って欲しい…






『ちょ、角名も写真なんて撮るな！』


北「お前ら、何してるん」





来ちゃった…


そう思ったらグイッと腕を引っ張られて
先輩のところへぽすっと収まる私





侑「す、すす、すみません！」


北「Aに気安く触ったらアカンやろ？」





胸の中に収まってる私は表情は見えないけど
周りはこの言葉に驚いてるはず…


だって私も驚いてる





侑「し、失礼しました！」





そう言って３人はどこかへ行ってしまった
あれ、てっきり２人じゃなくなるかと思ったのに
ちょっと嬉しい


はっと、気付いて顔を上げると
少し高さのあるブーツを履いてきたせいで
いつもより先輩の顔を近くに感じる




『す、すみません！』


北「いや、俺も少し子供みたいなこと言ってしまった」




行こうか、と手を差し伸べる先輩
格好を見ると前に来ていた黒のコートに中は
白の首元まであるニット…かな？
めちゃくちゃに、本当にめちゃくちゃにカッコイイ

私は伸びて来た手を複雑な気持ちで見ながら
手を重ねた









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少し人の多い電車に揺られて数分
駅に降りて数分歩いて水族館に到着

手はまだ繋がれたまま


嬉しい気持ちと
妹と思われてるのかなという気持ちが
ぐちゃぐちゃになっていく



水族館の中は家族連れよりカップルが多い
いいな、みんなは男と女として来てるんだ





『先輩見て下さい、この魚、角名にそっくり』


北「ほんまや、なんかダルそうな顔やな」





こんな気持ちじゃ２人なのに勿体ないと思い
楽しむ事に全振りする


思ったより楽しくてたくさん写真を撮ってしまう
…こっそり信介先輩も入れて


水槽に夢中で私たちを知る人は居ない
２人きり、誰にも邪魔されない空間が嬉しくて
あっという間に時間は過ぎていった





「カップルさん、今日の記念にどうですか？」




出口の近くでイルカの模型と
記念撮影出来るところがあった

私たち、カップルに見えるんだ
本当にそうなれたら嬉しいな




北「カップルじゃないです。でも、撮りたいです」


「ああ、それはすみません。ではお２人ともこちらへどうぞ！」


『……、』





あまりにもド直球な言葉
嘘でもいいじゃん、あの一瞬くらいカップルでいてよ
先輩のバカ




「いきまーす！ハイ、チーズ！」




写真の中の私は少し悲しそうに笑っていた








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