あつい 【北信介】

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「あ、おはよう佐々木」






次の日、朝登校して一番に
宮くんに声をかけられた。



今の席は
宮くんが私の左斜め後ろなのだけれど

今だけでなく

毎度席替えするたびに、
何故かいつも近くになる。






「宮くんおはよう

朝練お疲れさま」




「おん、ありがとう


…それよか、佐々木
昨日北さんと何話してたん？」




「……え、」






席は近いと言えど、
朝イチで話しかけてくるなんて
珍しいなと思ったら


……北さん、昨日の。

また意味もなく心臓がドキッとした。






「…特に、何も話してないよ

お花の名前、教えてくれたの」



「ふうーん


北さんが部活以外の後輩と、
ましてや女子と話しとるなんて

ほんま今日槍でも降るんかおもたわ」




「槍って…

ふふ、そんなに？」






北さんがどんな人かは知らないが

宮くんの大袈裟なリアクションと表現に
つい笑ってしまった。


“北さん”も、人見知りなのだろうか。







・






「Aー！

化学室行くで！」






2限が終わり、次は移動教室。

友達に呼ばれ、席を立つ。




夏の廊下って
本当に苦手。

教室が涼しすぎて、快適すぎて、
数分間の移動で使うだけでも
不快感が湧き出てくる。


できたら、全部の授業を教室で受け、
お手洗いだってなるべく行きたくないのに。






「てかA、
朝から侑くんと何話したったん！？

やけに長話しとったけど！」






こちらに駆け寄るなり、
興味津々に、質問してくる。


そんなに長話もしてなかったけど…






「若奈ってば、
本当に宮くん好きだよね


昨日、たまたま部活中の宮くんと会ってさ」




「えー！部活中の侑くんに！？

羨ましすぎる〜！」






若奈は俗に言う、ミーハーだ。

他校に彼氏はいるが、
イケメンが好き。


若奈曰く、宮くん含む
うちの学校のスターたちは

“推し”らしい。






「……宮くんの部活の
主将、さんにも会って


このお花のこと聞いたの」






若奈の質問に対して
答える必要はなかったかもしれないけれど

何故かペラペラと口が動いて
“北さん”の話もしてしまった。



そして、昨日の“キキョウ”の写真も見せた。






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