あつい 【北信介】

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私の声かけに振り向く人は
紛れもなく私の好きな人で。

声をかけたのが私だと気付くと
大きな目を見開いて、驚いている。


今、一緒の空間にいること
私の声で反応してくれること
私の存在に驚いてくれること

全てが愛おしく感じる。


ああ、好きだなあ。









「なんや 佐々木さんも勉強しにきたん？」



「…はい、北さんこそ
部活じゃないんですか？」



「テスト期間入ったのに
今週、土日両方部活があるから
今日は休みなんよ

…ん、ここ座る？」



「えっ、……
はい」









北さんの隣の椅子に置かれていた荷物を
床にドンッと置いて

じっとこちらを見て手招きしてくれる。


……私のために、
席を空けてくれた。

教室での隣の席よりもはるかに近い、隣。
若奈と向き合ってお昼を食べる時よりも近い、距離。




そ、そんなの座るに決まってる。

決まってる、けど
近すぎる。

下手したら肩と肩が触れてしまいそう。








「･･･お隣失礼します」



「失礼します、って
なんでそんな硬いん？」



「なんか
き、緊張しちゃって、」



「っふ、
俺なんかに緊張せんでええよ」









そう声をかけてくれる北さんの表情は
すごくすごく、優しくて。


もう、「好きです」って
伝えたいくらい、感情が昂る。









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