あつい 【北信介】

20 ページ22

・








「…えっと、」




「俺の気のせいやったらごめんな

…話してへん？」








そんな真っ直ぐ強く見つめられたら
ドキドキ、加速していく。



暑い教室で、
熱い視線に、
心が熱くなる。


ドク、ドク、と
心臓の音が明確に体を伝って耳に届く。







「…この前、初めてお会いしたじゃないですか」



「おん そうやね」



「………お名前聞いてなかったなって
考えてたんです」



「ふっ、」







………わ、

笑った！笑ってる！！！！


真剣な表情から柔らかく
目がほんの少し細まり、
口角が上がっている。



…なんで1回で気づかなかったんだろう。

この人、かっこよすぎる、でしょ。







「そんなこと考えとったん？
こんなあっつい部屋で…」



「……職員室前でお話ししたとき

名前聞けば良かったなって
…後悔してたんです」



「ふ、なんやそれ
えらい可愛い後悔やな」



「………かっ、」






か、可愛いって！！！！
可愛いって言った！？

何度も勝手に頭の中でループされる。



罪！罪な男！！！
なによ可愛いって！
この人こんなサラッと言えちゃうの！？
実はこの誠実そうな感じで(派手髪だけど)
チャラチャラだったりするの！？
えーんそうだとしても
魅力的すぎよっ！！








「そんなこと、
･･･俺のこと、一人で考えてくれてたんや」



「･･･はい」









改めて、
とても恥ずかしいことを
暴露してしまったんだと後悔。


一人でよく知りもしない
北さんのこと考えて、呟いて、

気持ち悪がられてもおかしくないのに。



本当に、心の広い方なんだな。









「･･･そうか、
せやったらもう一生名前教えんとこかな







ずっと俺のことで頭いっぱいに
なっとき」






・

21→←19.5

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す