あつい 【北信介】

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「北さんも
廊下で先輩方とお話しされてましたよね」



「ああ そうやったね

佐々木さんも気づいてくれとったんや」



「…はい」






照れ隠しも含めて
『私も気づいてた！』とアピールしてしまった。


それなのに、
私が発言する一言に対してまた一言、また一言、と

ドキッとしてしまうような言葉をかけられてしまう。



気づいて“くれとったんや”って

……北さんも、私が気付いてないかもって
気にして考えてくれてたのかな。






「今はお互いひとり同士やから
なんも気にせず声かけれたわ」



「…はい ありがとうございます」






そんなこと言われたら



『もうっ
全然私になんか気にしないで
たくさん声かけてくださいっ』


なんて気持ちになってしまう。


現実味がないところも
なんだかアイドルとファンのような感覚だ。




もちろんアイドルは北さんで、

私はいちファンにしかすぎなくて
きっとドキドキしているのも意識しているのも私だけ。






「ふっ なんでそこで感謝やねん

声かけられるの嬉しいんか？」



「あっいやっ、
咄嗟に…」



「まあええわ

嫌な気されてないんやったら
声かけさせてもらうわ」



「…はい、」






この人、人たらしすぎないか？

…全然、胸が鳴り止まない。





宮くんが言っていた、“怖い”要素は一体どこなのか。

今の私なら、そんな一面を見ても
新しい一面を知れた！と
喜んでしまいそうだ。






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