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5 ページ5

F*









俺たちが中学生の頃だった





あの暑い夏の日





Aのお母さんが

交通事故でこの世を去った





身近な人が亡くなるということが

初めてで

俺は酷くショックを受けた





Aは俺とは比べ物にならないくらいの

哀しみだったはずだ





だけどAは

人前で泣くこともなく

気丈に振る舞っていた





2ヶ月近くが経とうとしていたある日





小さい頃から数日に一回は

ふらっと俺の家に来ていたAが

一週間以上来なくて

気になってAの家に行った





昔からいる

優しいお手伝いのお婆さんが

迎えてくれる





Aの部屋に入るのは

たぶん1ヶ月ぶりくらいだったけど

いつもと家の雰囲気が違うからか

すごく久しぶりに感じた





窓辺に座って外を眺めながら

「……お母さん、死んじゃった」

と消えそうな声で呟いたAが

やけに小さく思えて

抱きしめた





ふっ、と力が抜け

腕の中で泣き出したA





そんなAを見て

"これからは俺が守らないと"

と、幼いながら確かにそう思った









*

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作者名:ゆう | 作成日時:2019年1月18日 19時

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