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*
マンションの前まで送ってもらった
タクシーの中から
マンションを見上げ
「高っ」
って呟いてる
「一人暮らしって言ってなかった?」
「うん、1人だよ」
「凄いとこ住んでるな」
「そう?
送ってくれて、ありがとう」
「おう、またな」
すぐに動き出したタクシーを見送り
マンションに入った
玄関にある鏡に映った自分
濃いメイクに
派手な服
着飾って武装して
"私"を演じてる
上手く笑えているのかな?
あの真っ直ぐな視線がコワイ
あの瞳でじっと見つめられると
全て見透かされているような気になる
楽しそうに笑う無邪気な顔も
いつも前を向いて進んでいる強さも
私には眩しくて、
……好きじゃない
シャワーを浴びて
音もない1人きりの部屋に戻ると
急激に寂しさが襲ってくる
いくら外で仲間とお酒飲んで騒いでも
誰かの腕の中で一時の温もりを感じても
ひとつも満たされなくて
どんどん空っぽになっていく気さえする
こんな中途半端な時間に帰ってきた日は
外が明るくなるまでの数時間が
すごく長い
*
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作者名:ゆう | 作成日時:2019年1月18日 19時