恋におちたら

＊14 ページ14

「あったかいお茶でいいですか？」


二階堂さんにお茶を入れようと、キッチンに立つ。


ふと二階堂さんが持ってきてくれた袋を見ると、水やお茶、イオン飲料のペットボトル。
風邪薬に冷却シート。それにプリンやゼリーまで。



そして、小さな紙袋の方には温かいタッパーが入ってる。



「ねえ、俺は何にもいらないから。気ー遣わないで、病人は早く休んで。

……あ。」



私の方を見て、二階堂さんがソファーから立ち上がってこっちに来る。




近付いてきた二階堂さんに、ひとりドキドキしてしまう。
スッピンだし、あんまり見られたくない。




「Aは何か食べた？」


「……いえ、まだ。」


「じゃあちょうど良かった。薬飲む前に……これ、食べてみて。」



二階堂さんが、紙袋からタッパーを出してくれた。



「これね、雑炊。この間のお店のママに頼んで、作ってもらったから。」


「え、わざわざ？」


「うん。うまいから、絶対。

まだあったかいし、食べてみて。



………ほら、俺のことはいいから………早く座って。」




「なんか、いろいろ………ホントにすみません。」



私のために？


さっきまであんなにだるかったのに、二階堂さんの顔見たらちょっと元気になったかも、私(笑)。




二階堂さんにお茶だけは入れて、もう一度ソファーに座ってもらう。


私は、さすがに隣には座れなくって(笑)、ちょっと離れてテーブル横のラグに座る。



二階堂さんに言われてもう一度熱を測ってみると、37.8度。

良く寝たせいかな、少し下がってる！



ちょっとホッとする。




そして、雑炊をいただく………。


「わ、美味しい。」


「だろ〜〜！……まあ、俺が作ったんじゃないけどね。」


「フフ。でも、すごく元気出ます。」


「そっか。良かった…。」



そう言って、目を柿ピーみたいにクシャってして笑う二階堂さん。

不意の笑顔にドキッとして、また熱が上がりそう(笑)。





「あ、あの。今日あれから仕事忙しかったですか？」


雑炊をいただきながら、ドキドキを隠すために話題を変えてみる。



「ううん。今日は大丈夫。

……………夕方、部長に呼ばれてね。いろいろ話してたから遅くなった。」



「………そうだったんですね。」




「……………うん。あのさ、



…………Aには、具合がよくなってから話そうと思ったけど。

…今日ね、内示があった。異動の…………………あ、開発の方にね、来月から。」







「…………………。」

＊15→←＊13

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す