恋におちたら

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「また連れてって下さいね〜。」

「おう。

あ、オレ寄るとこあるから。」


そう言って、二階堂さんは途中の階で降りた。
閉まるエレベーターのドア。


ちょっとホッとする。




「田中君、二階堂さんとご飯行ったの？」


「うん、昨日ね。全体研修お疲れってことで連れてってくれた。
オレと、あと2人。

それに何でかいっこ上の先輩の佐藤さんも加わってさ…。
一緒に来ればよかったのに。」


「来ればよかった、って誘われてないし(笑)」


「だな(笑)」




エレベーターで目的階について、二人で降りてからも廊下を歩きながら話し続ける。




「怖くないの？二階堂さん。」


「ん？あ〜。営業課のグループ研修の時な…。初め確かにとっつきにくい感じしたよな、そういえば。」



田中君と私はおんなじグループだったから。


「あれから、いろいろ教えてもらう機会があって、たくさん話すようになったらさ、全然。

なんか優しいし、すっげーおもしろい先輩で。」



「そうなの？」



「それにさ〜、昨日佐藤さんから聞いたんだけどさ、

去年一緒に行った出張先のホテルでね、
二階堂さんの部屋で次の日の打ち合わせしてて、

終わったから自分の部屋に帰ろうとしたら、
え、帰んの？って言われて、一緒の部屋に泊まらされたって。

その理由がさ、
二階堂さんの部屋だけホテル側の手違いでツインで。

一人じゃ広すぎてお化けが出るかもしれないから、だって。

笑えるだろ〜。」



「嘘でしょ〜？」


田中君は、思い出してまた笑ってる。




二階堂さんのイメージが、何だか崩壊する。

そんな可愛い人だっけ？



……ホントは、すっごくいい人だったりするのかな？



さっきまでの憂鬱がほんの少しの希望に変わる。
二課に配属になった田中君と別れ、自分のデスクにつく。







しばらくすると、二階堂さんが来てたくさんの資料を渡された。


「はい。これ、俺の担当名簿と資料。

三課の共通フォルダにも詳しいの入ってるから全部午前中に目―通しておいて。

午後から一緒に回るから。」



ニコリともしないでそう言われた。



前言撤回。







……やっぱり怖い。

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