*88〜back in time ページ39
.
タクシーに乗ると、母はさっきのメモを見ながら病院の名前を運転手さんに告げた。
ここから山を下って街の病院までは、空いている夜道でも1時間程はかかるらしい。
「少し眠っていいからね」
母はそう言ってくれたけど、深夜どんなに車に揺られても……眠くなることはなかった。
タクシーが走ってる山道は、街灯もほとんどない真っ暗な道で。
周りにたくさん生い茂っている木々の黒いシルエットが夜の暗闇と相まって、余計に不安を募らせた。
窓に顔を寄せてのぞき込む様に空を見上げると、真っ黒な色をした夜空に星がたくさん瞬いていて。
そして、今にも消えそうな白くて細い月が、冷たい顔をして輝いていた。
この非日常の景色と、今置かれてる状況が、どうしても自分自身の身に起きていることに思えなくて。
ドラマか映画を観ているような、、、フワフワした夢の中にいるみたいな気持ち。
ううん、もしかしたら本当に夢を見てるのかも。そんな風にさえ思えた、、のに。
山道を下って少し街場に近付いてきたのか、さっきより道が開けたあたりで、、、
すぐに現実に引き戻された。
「あれ?事故かな」
運転手さんがポツリと漏らした言葉に、心臓がドキンとなる。
道の先に、さっきまでの暗い夜道とは逆の眩しい位の赤色灯。
何台ものパトカーが停まっているのが見えた。
タクシーは、警察の誘導でスピードを落として、現場の横をゆっくり通り過ぎる。
一車線を塞ぐように横転するトラックと、大破した黒っぽい車がチラッと見えた。
怖くてギュッと目を瞑った。
足元がカタカタと震えて、背中に嫌な汗が流れるような、ゾクゾクする感覚。
母がそっと優しく肩を抱き寄せてくれた。
でもその母の手も、、小さく震えてた。
.
*89〜back in time→←*87〜back in time
441人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「Kis-My-Ft2」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
な(プロフ) - めろんさん» お忙しい中返信ありがとうございます。いつか続きを書いてくださると言う事で気長に更新される日を楽しみにしてます(´•᎑•`)♡ (2022年4月22日 18時) (レス) @page43 id: e0b3298bfa (このIDを非表示/違反報告)
めろん(プロフ) - なさん» こんにちは!コメントありがとうございます。いろいろ忙しかったりして最近はなかなかこちらに来れず、コメントに気付くのが遅れてスミマセン。また落ち着いたら続きを書きたいと思っています。よろしくお願いしますm(__)m (2022年4月22日 11時) (レス) id: b3e118b8f0 (このIDを非表示/違反報告)
な(プロフ) - 久しぶりに読ませていただき、やっぱり好きだなぁと思いました。もう続きは書かれないですか?気になっているのでもし良かったら書いてほしいです(;_;) (2022年3月13日 1時) (レス) id: e0b3298bfa (このIDを非表示/違反報告)
めろん(プロフ) - あらしごとさん» コメントありがとうございます。始まった時から読んでいただいてるとのこと!嬉しいです。このところ、なかなか更新出来てなくて申し訳ないです( > < )なるはやで再開できる様頑張ります☆ (2021年6月5日 23時) (レス) id: 230cd38611 (このIDを非表示/違反報告)
あらしごと(プロフ) - こんにちは!この物語が始まった時から楽しく読ませて頂いていました!最近また読み返していたのですが、続きがとても気になります!ガヤさんの妹だと北山さんはいつ気づくのかなど自分で続きを想像しています笑ゆっくりでいいので更新楽しみにしています! (2021年6月5日 7時) (レス) id: 82951e9e3a (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:めろん | 作成日時:2020年10月14日 13時