空から降るラブソング２

＊84〜back in time ページ35

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ポラリスの出演時間の少し前に会場入りした。



確かに、去年よりすごい人。



私的には、本当はサブステージや出店なんかも見て回りたかったけど、母が疲れないように早々にメインステージへ。



本来野外ステージは、座席のないオールスタンディングだけれど、横尾さんが送ってくれた招待券のおかげで、今年は関係者席に座らせてもらう。



母にもその方がいいだろうって、お兄ちゃんが気を利かせてくれたから。








昼間はあんなに暑かったのに、陽が落ちる頃にはぐっと気温が下がって来る。



高原を吹き抜ける風は、涼しさよりも冷たさが増して、パーカーを羽織っていてもまだ肌寒いくらい。



でも山の稜線に揺らめきながら沈んでいく夕陽が、辺り一面を真っ赤に染める様子は、絵画みたいに本当に綺麗だった。



お兄ちゃんもみたかな？









ちょうど、関係者席に向かう途中で横尾さんに会えた。



今日の招待券と、先日の夢の国のお礼を伝える。



母は、横尾さんとその近くにいた綺麗な女の人にも挨拶をしてる。



もうひとりの、ポラリスのマネージャーさんらしい。



「あなたがAさん？」



「はい」



「初めまして。チーフマネージャーの三崎です。太輔から、話をよく聞いてるのよ。可愛い妹がいるって」



「………そうですか」



「今日は、楽しんでいってね」



そう言い残して、去っていった。



マネージャーっていうより、女優さんかと思うような艶やかな微笑みの人だった。







席について、ポラリスの登場を待つ。



ふと去年のことを思い出す。



受験生だった去年は、最初は行かない予定だったけど、やっぱりどうしてもポラリスのライブが観たくて。



今よりもっと勉強を頑張るからって母をギリギリで説得して、急遽ここまで来て当日券で入ったんだ。



去年はもっと明るい時間の出演だったっけ。



もちろんメインステージ前は、スタンディングで盛り上がってたけど、私とお母さんは少し離れたところにシートを敷いて、双眼鏡を片手にのんびりと観ていた。









今年のライブは明らかに、その時以上の盛り上がり。



関係者席にまで、ものすごい熱狂が伝わって来た。



ポラリスがデビューして、お兄ちゃん達は人気者になったんだなぁって、今更ながら実感した。



そしてやっぱり、太輔とミツのツインボーカルが紡ぎ出す世界観に、心が踊った。








………あの時はあれが、最後の姿になるなんて思いもせずに。




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