空から降るラブソング２

＊83〜back in time ページ34

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あれは、高1の夏の終わり。



ポラリスのライブを観るために、母と地方で開催される音楽祭に出掛けた。



音楽を通して、街の活性化や地方からの音楽シーンの底上げを目指した、中規模の野外フェス。



会場は都心からのアクセスも良くて、広い高原で豊かな自然を感じながら音楽や食を楽しめるフェスとして注目を集めていて、出演アーティストも毎年総勢100組以上。観客の総数も年々増加してる人気フェスだ。








ポラリスの出演は、去年に続いて2度目。



しかも、今年はメジャーデビューを果たしての凱旋ライブでもあり、最終日の大トリを務めることになっている。



その話題性もあって例年以上の反響を呼び、今年は過去最大の観客数になっているらしい。



元々人混みが苦手な母は、去年は未体験のフェスに最初こそ躊躇していたけど、実際は爽やかで空気の美味しい高原と、老若男女思い思いに好きな音楽を楽しむ様子が気に入ったらしく、今年はとても楽しみにしていたみたい。



近くのリゾートホテルに泊まって、フェス以外にも、観光地を巡ったり温泉に入ったり美味しい食事を堪能したり………久しぶりに母娘で充実した時間を過ごせた。



ポラリスの出番は最後だから、母が疲れないように一旦ホテルの部屋に戻って身体を休める。



お兄ちゃんとも連絡は取れたけど、会場周辺に例年以上の観客が集まっているから、混乱を避けるためにも単独行動は出来ないらしく、残念だけど会うことは出来なそう。



寂しいけど、まあ仕方ない。。。







でも、お兄ちゃんがそれを察してか……バンドのメンバーと一緒に撮った写真を送ってくれた。



ケータリングかな？食事をしてる風景。ちょっとおどけたような、楽しそうなお兄ちゃんの笑顔。



ベッドに寝転がってその写真を眺めてたら、母に笑われる。



「この間、太輔のところに遊びに行ったばかりじゃない。もう寂しくなっちゃったなんて、相変わらずね、Aは、、」



「別に、そういう訳じゃないし！」



取り繕ったけど、、、バレてる。



「あと少ししたら、ステージに立ってる太輔が見れるんだから、いいじゃないの」






そうなんだけど………






写真を見ていた理由は、それだけじゃない。






だって、






その写真のお兄ちゃんの隣には






テレビの音楽番組やライブでは見たことのない






飾らない優しい笑顔の、、、









ミツが、写ってたから………。






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