INNOCENT DAYS ４

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それから、ピアノ発表会の会場へ。



発表会といっても、いわゆるホールなんかで開かれるものとは違って、、、大人向けの教室だから、ピアノのあるシックなレストランを貸し切って行う形式。



生徒さんの中で希望者が、家族や親しい友人を招いて行うアットホームな雰囲気の会だ。



そして、ピアノの発表が終わったら皆で美味しい食事をいただきながら、木崎さんや講師の演奏が聴ける。



そのカジュアルさがウケて、実は1年に1度の教室の人気イベントにもなっていて、、今年は昼と夜の2回に分けて行われる程。






私は飛行機の時間があるから、昼の部の途中までの参加で。



今日はゲストの扱いだけど、もちろん教室の人間だし、木崎さんや中島君達と一緒に会場の準備を手伝いつつ、軽くリハも済ませて、開場の時間を迎える。



プログラムを渡して受付を済ませた生徒さんやお客様を、それぞれのテーブルに案内していると、、「A先生」と呼ばれて振り向く。



久しぶりに会うその女性は、ピアノを習っているお孫さんと、いつか連弾をしたいと一念発起してこのスクールに通い始めた橘さん。



今日は念願かなって2人の初めてのステージで、仲良く手を繋いで現れた。



大人ばかりのステージに特別出演する美咲ちゃんは、今年で小3。



笑顔があどけない、可愛らしい女の子。



オーダーメイドで仕立てたのか、光沢のあるグレーの同じ生地で、美咲ちゃんはレースに大きなリボンをあしらったドレス、そして橘さんは品のあるエレガントなフォーマルドレスで2人とも良く似合っている。



「お久しぶりね。ドイツでの生活はどう？」



「ハイ、おかげさまで、、、」



そんな立ち話をしていると「お待たせ」と言って、少し遅れてやってきたのはタチバナトウキョウの橘会長。



え………？



「もしかして、、、」



「Aさん、こんにちは。今日は家内と孫のピアノを、聴かせてもらいに来ましたよ。」



まさかお二人がご夫婦だったなんて！




「橘会長、本日はようこそ。」



木崎さんも挨拶にやってきて、私を見て笑ってる。



｢元々、橘会長の紹介で奥様がうちの教室に入ったんだよ。｣




そっか、、、



そういえば……橘さんは美咲ちゃんと私のコンクールの応援に来てくれていたし、橘会長もその演奏を聴いて、私のピアノを評価してくれたんだった。



あの時、一緒に来ていたんだ。






「今日は、あの曲を弾くんだね。」



橘会長が私に尋ねた。



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