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空気を読んだのか、青木さんが「私はそろそろ帰るね」って告げた。
「あ、はい!今日はありがとうございました……。」
「帰るって言っても、隣の部屋だけどね。」
そう言って、木崎さんが笑ってる。
「Aちゃんにはまだ話してなかったけど、僕たち今一緒に暮らしてるんだ。」
え??びっくりするような報告……知らなかった!
「僕が海外に出ることも増えたし、事務所の事もいろいろ任せてるし………それに、今彼女のお腹の中には子供もいるし。」
「ウソ?ホントに!?」
とにかく驚きを隠せない私に、2人が目を合わせて笑ってる。
そういえば青木さん、今日は体調が良くないってウーロン茶しか飲んでなかったな。
「近々入籍する予定でね。冬には僕もパパだよ。」
照れ笑いを浮かべる木崎さん。
「おめでとうございます!」
2人の幸せそうな笑顔を見たら、本当に嬉しくて………何だか泣けてきた。
木崎さんとはいろいろあったけど、、、大学を中退してからの私は、木崎さんの助けがなかったら、ここまでやって来れなかった。
私の師匠でもあり、お兄さんみたいな存在で、、、本当にお世話になったから。
今日は飲みすぎたし、幸せな報告を聞いて、何だかフワフワした気分。
「………で、何があったの?」
青木さんが自室に戻ってからまたそう聞かれて、、、誰にも言うつもりのなかったあの桜の日の出来事を気付いたら話してた。
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日本での滞在もあと2日。
最終日の明日は、レストランを貸し切ってピアノ教室の発表会が予定されていて、午前中私もゲストとして呼ばれ、1曲弾くことになっている。
その後、夜の便でドイツに戻る。
今日はその打ち合わせを済ませ、帰りの準備もあるから早めにホテルに戻った。
ふと鳴り出した携帯。
知らない番号からだったけど、このところレコーディング関係の仕事の電話もあったから、迷わずに出た。
「はい、もしもし。」
「………………もしもし、、、Aちゃん?」
え?
その一言だけで、胸がドキンと大きく波打つ。
聞き覚えのある低くて掠れた声が、一瞬にして耳元から身体の奥まで響いて、鼓動が早まる。
「…………はい。」
そう返事するのがやっと。
「あのさ、会って話がしたいんだけど、、、」
どうして?
私が今どこにいるのか知ってるの?
その時、部屋のチャイムが鳴った。
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めろん(プロフ) - にかはるかさん» ありがとうございます(^^♪私にとっても思い入れのある2人なので、完結してちょっと淋しくもあります。まだノープランですが、2人の未来をゆっくり考えてみますね。 (2019年10月24日 10時) (レス) id: 85fa9eafbf (このIDを非表示/違反報告)
にかはるか(プロフ) - 完結おめでとうございます!2人の関係がすごく好きでした。最後は号泣でした。高嗣サイドも続編も短編も待ってますので宜しくお願いします! (2019年10月23日 10時) (レス) id: 1c69577c40 (このIDを非表示/違反報告)
めろん(プロフ) - りっちゃんさん» ありがとうございます!後半は少しハラハラさせてしまってゴメンなさいw。私的にも、ゆっくり柔らかく愛を深めていく2人を描きたかったので、伝わってくれてるとすごく嬉しいです。 (2019年10月7日 12時) (レス) id: 85fa9eafbf (このIDを非表示/違反報告)
りっちゃん(プロフ) - 連載お疲れ様でした!!すごく良いお話でした…。ほっこりするというか、にかちゃんと主人公ちゃんの間には、ゆったりほんわかした雰囲気や空気感が感じられました。読んでいてハラハラする時もありましたが、読み終わるとほんわかした気持ちになることが多かったです。 (2019年10月7日 0時) (レス) id: 3f1fc3d1a7 (このIDを非表示/違反報告)
めろん(プロフ) - ひよさん» ひよさん、あたたかい言葉ありがとうございます。そして「にかちゃんがにかちゃん」って言って頂けてホッとしています♪続編、まだノープランですがwゆっくり考えますね! (2019年10月6日 1時) (レス) id: 657646c020 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:めろん | 作成日時:2019年6月25日 17時