*160 ページ14
.
「どした?」
耳の奥に響くような、高嗣の低くて優しい声。
「………今日のこと、思い出して、、、怖かった。」
感情だけが後から遅れてきたみたいに恐怖心でいっぱいになって、今頃になって震えが止まらない。
「うん、、、、大丈夫。もう、大丈夫だから。」
「ゴメンね、、、あは。」
心配掛けたくなくて、笑おうとしたのにうまく笑えずに、涙が零れてくる。
「Aちゃんは、なんも悪くないよ………無理しないで?俺の前では、素直に泣いてもいいんだよ。」
その言葉で、肩の力がすっと抜けた。
「うん、、」
あとはもう、とめどなく涙が溢れてくる。
………………恐怖や、失望や、不安。
滞ってた負の感情が、涙と一緒にゆっくり溶けてどこかに流れてくみたいで。
どのくらい泣き続けてたんだろ。
麻痺してた感覚が徐々に戻ってくみたいに、高嗣の腕の中でその体温を感じて、いつの間にか震えは止まってる。
………気付けば、私の涙で濡れてる高嗣の白いTシャツ。
「ゴメン///。」
「フフッ、こんなん気にすんなって。」
耳元に響く、優しい声。
高嗣が大きな掌で、私の頭を撫でると…少しずつ気持ちが落ち着いてくる。
私に向けられる、柔らかい笑顔。
「もう、大丈夫だから。」
気持ちを落ち着かせようと、何度もそう伝えてくれる。
そして、頬にかかった髪をそっと耳に掛けて、そのしなやかな指で涙を拭ってくれた。
「ありがとう………///。」
やっと、冷静さを取り戻す。
「うん。Aちゃんが無事で良かった、、、」
そう言って、私の目をすごく愛おしそうに見つめた。
.
落ち着いてから、今日の事をちゃんと高嗣に話した。
ずっと険しい顔して聞いてたけど、私が話す間ずっと肩を優しく抱いていてくれた。
身体も、心も、、そばにいてくれるみたいに。
「………ホントにあるんだね、こういう事。」
「サンシャインは、売れればなんでもあり、みたいなとこあるみたいだし………もっと早く気付いてあげられなくてゴメン。」
「謝らないで?高嗣が悪いわけじゃないよ、、、私にはピアノしかないし、、、家族にためになるかも、ってちょっと欲が出ちゃった私がバカだっただけ。」
「そんなことない。」
高嗣が私の目をじっと見る。
「Aちゃんには、ホントにピアノしかないの?………俺じゃ、Aちゃんの力になれない?」
.
554人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「Kis-My-Ft2」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
めろん(プロフ) - にかはるかさん» ありがとうございます(^^♪私にとっても思い入れのある2人なので、完結してちょっと淋しくもあります。まだノープランですが、2人の未来をゆっくり考えてみますね。 (2019年10月24日 10時) (レス) id: 85fa9eafbf (このIDを非表示/違反報告)
にかはるか(プロフ) - 完結おめでとうございます!2人の関係がすごく好きでした。最後は号泣でした。高嗣サイドも続編も短編も待ってますので宜しくお願いします! (2019年10月23日 10時) (レス) id: 1c69577c40 (このIDを非表示/違反報告)
めろん(プロフ) - りっちゃんさん» ありがとうございます!後半は少しハラハラさせてしまってゴメンなさいw。私的にも、ゆっくり柔らかく愛を深めていく2人を描きたかったので、伝わってくれてるとすごく嬉しいです。 (2019年10月7日 12時) (レス) id: 85fa9eafbf (このIDを非表示/違反報告)
りっちゃん(プロフ) - 連載お疲れ様でした!!すごく良いお話でした…。ほっこりするというか、にかちゃんと主人公ちゃんの間には、ゆったりほんわかした雰囲気や空気感が感じられました。読んでいてハラハラする時もありましたが、読み終わるとほんわかした気持ちになることが多かったです。 (2019年10月7日 0時) (レス) id: 3f1fc3d1a7 (このIDを非表示/違反報告)
めろん(プロフ) - ひよさん» ひよさん、あたたかい言葉ありがとうございます。そして「にかちゃんがにかちゃん」って言って頂けてホッとしています♪続編、まだノープランですがwゆっくり考えますね! (2019年10月6日 1時) (レス) id: 657646c020 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:めろん | 作成日時:2019年6月25日 17時