*152 ページ6
.
ピアノ教室の仕事を終えて、約束の時間に間に合うようホテルに向かう。
歩きながら、ふと今日別れ際の高嗣の顔が浮かんできた。
「とにかく何かあったら連絡して。」
「俺…迎えに行くから。」
高嗣はいつだって優しいし、過保護なくらい心配してくれたりもするけど、今日はいつも以上に気に掛けてくれていたような、、、
私の不安を感じ取ってくれたのか、それとも高嗣なりに気にかかることがあるのかは、考えても仕方ないけど。
とにかく、契約の話はもう少し詳しく聞いてみないとわからないし、高嗣とはまたそれからゆっくり話そう。
そんな事を考えているうちに、約束のホテルに着いた。
落ち着いた佇まいのロビーを抜け、エレベーターを昇って長いアプローチを進んだ先にある、夜景が美しいクラシカルなフレンチレストラン。
アールヌーボー調の店内は、ドーム状の天井にキャンドルを模したシャンデリアが吊るされてる。
私も一流ホテルのラウンジでお仕事を頂いてるけど、あまり来たことのない慣れないラグジュアリーなホテルは、やはりそれだけで緊張する。
案内された席には、先にディレクターの田中さんが見えていた。
「あの、、こんばんは。白石です。」
この業界の挨拶は、昼夜を問わず「おはようございます」だって事は、以前高嗣と例のテレビのお仕事をさせてもらった時に学んだから、何て言うべきか少し戸惑ったけど………私は一般人だし、やはりこの空間には似合わない気がする。
すると、程なく廣瀬さんもやって来た。
廣瀬さんは、40代くらいのスマートな雰囲気の紳士。
ラグジュアリーな場所に合わせてか、品の良いシックなスーツをピシッと着こなしていて、目が合うとにっこりと微笑んでくれた。
やはり、以前田中さんと一緒に私がピアノを弾くラウンジに見えていた方だ。
「白石、、Aさん……今日は、わざわざ出向いていただきありがとうございます。」
そう言って、右手を差し出された。
「いえ、、こちらこそ。今日はよろしくお願いします。」
私も右手を出すと、ギュっと握られて握手を交わした。
「やっぱりピアニストの手は、細くて綺麗だね。」
口角を上げて微笑むと、そのまま左手で、私の手をすっと撫でるように包み込む。
ん………………なんか馴れ馴れしいというか、、、ちょっとだけ苦手かも。
本能的に何となくそう思った。
.
554人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「Kis-My-Ft2」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
めろん(プロフ) - にかはるかさん» ありがとうございます(^^♪私にとっても思い入れのある2人なので、完結してちょっと淋しくもあります。まだノープランですが、2人の未来をゆっくり考えてみますね。 (2019年10月24日 10時) (レス) id: 85fa9eafbf (このIDを非表示/違反報告)
にかはるか(プロフ) - 完結おめでとうございます!2人の関係がすごく好きでした。最後は号泣でした。高嗣サイドも続編も短編も待ってますので宜しくお願いします! (2019年10月23日 10時) (レス) id: 1c69577c40 (このIDを非表示/違反報告)
めろん(プロフ) - りっちゃんさん» ありがとうございます!後半は少しハラハラさせてしまってゴメンなさいw。私的にも、ゆっくり柔らかく愛を深めていく2人を描きたかったので、伝わってくれてるとすごく嬉しいです。 (2019年10月7日 12時) (レス) id: 85fa9eafbf (このIDを非表示/違反報告)
りっちゃん(プロフ) - 連載お疲れ様でした!!すごく良いお話でした…。ほっこりするというか、にかちゃんと主人公ちゃんの間には、ゆったりほんわかした雰囲気や空気感が感じられました。読んでいてハラハラする時もありましたが、読み終わるとほんわかした気持ちになることが多かったです。 (2019年10月7日 0時) (レス) id: 3f1fc3d1a7 (このIDを非表示/違反報告)
めろん(プロフ) - ひよさん» ひよさん、あたたかい言葉ありがとうございます。そして「にかちゃんがにかちゃん」って言って頂けてホッとしています♪続編、まだノープランですがwゆっくり考えますね! (2019年10月6日 1時) (レス) id: 657646c020 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:めろん | 作成日時:2019年6月25日 17時