*148 ページ2
.
食事を終えて、コーヒーを煎れながら高嗣に例の話を切り出してみる。
「あのね、、、ちょっと聞いて欲しいんだけど。」
「ん、どした?」
いつだって、高嗣は優しく真剣に私の話を聞いてくれる。
前にもあったね、こんなシチュエーション。
あれは、私がコンクールへの出場を迷っていた時。
あの時は、高嗣に背中を押してもらった。
ううん、きっと初めから高嗣に背中を押して欲しくて……あと一歩の勇気を貰いたくて、話したんだと思う。
でも、今回は少し違う。
示された道に、本当に進んでいいのか自分の中に大きな迷いがあるから。
..
ダイニングテーブルに向い合せで、頂いた企画書をちょっと難しい顔して無言で読んでる高嗣。
2人でいる時にはあんまり見せない真剣な表情。
もしかしたら、お仕事モードの高嗣はいつもこんな顔してるのかもしれない。
飲み終えたコーヒーのカップを、コトリとテーブルに置く。
「すげーAちゃん、、びっくりした。サンシャインレコードなんて、大手じゃん。」
ゆっくりと高嗣が顔を上げて、ボソッと私に告げた。
「でも……なんだか企画の内容が、私にはちょっと、、、」
「ん、、、でもさ、すごい事じゃん。たくさんの人にAちゃんのピアノを聞いてもらうチャンスじゃない?」
「それはそうなんだけど………。」
高嗣はいつだって前向きだね。
「………でもあんまり乗り気じゃないんだ?」
向かいに座ってる私の目を見て、心の中を読み取ろうとしてくれてるのが伝わる。
「うん、、、だって。私のピアノがどう、とかっていうよりも、、ビジュアル重視みたいな感じで、、、私そんなんじゃないし。」
「クク、、なんかAちゃんらしいわ。」
そう言って緩く笑顔になる。
「どっちにしても、また話するんでしょ?もう少し詳しくいろいろ聞いてみたら?」
「うん、次は廣瀬さんっていうプロデューサーも一緒らしいんだけど、、、高嗣知ってる?」
「うーん、俺はよく知らないけど。」
たぶん、先日挨拶してくれた田中さんと一緒に、ラウンジに私のピアノを聞きに来てくれてた人なんじゃないかと思うけど。
「なんか、、、そんな偉い人にあって話したりしたら、もう後戻りできなくなっちゃそうで怖いんだけど。」
「フフッ、そんなことねーって。で、いつ会うことになってるの?」
「それが、、、今夜なんだけど。。。」
.
554人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「Kis-My-Ft2」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
めろん(プロフ) - にかはるかさん» ありがとうございます(^^♪私にとっても思い入れのある2人なので、完結してちょっと淋しくもあります。まだノープランですが、2人の未来をゆっくり考えてみますね。 (2019年10月24日 10時) (レス) id: 85fa9eafbf (このIDを非表示/違反報告)
にかはるか(プロフ) - 完結おめでとうございます!2人の関係がすごく好きでした。最後は号泣でした。高嗣サイドも続編も短編も待ってますので宜しくお願いします! (2019年10月23日 10時) (レス) id: 1c69577c40 (このIDを非表示/違反報告)
めろん(プロフ) - りっちゃんさん» ありがとうございます!後半は少しハラハラさせてしまってゴメンなさいw。私的にも、ゆっくり柔らかく愛を深めていく2人を描きたかったので、伝わってくれてるとすごく嬉しいです。 (2019年10月7日 12時) (レス) id: 85fa9eafbf (このIDを非表示/違反報告)
りっちゃん(プロフ) - 連載お疲れ様でした!!すごく良いお話でした…。ほっこりするというか、にかちゃんと主人公ちゃんの間には、ゆったりほんわかした雰囲気や空気感が感じられました。読んでいてハラハラする時もありましたが、読み終わるとほんわかした気持ちになることが多かったです。 (2019年10月7日 0時) (レス) id: 3f1fc3d1a7 (このIDを非表示/違反報告)
めろん(プロフ) - ひよさん» ひよさん、あたたかい言葉ありがとうございます。そして「にかちゃんがにかちゃん」って言って頂けてホッとしています♪続編、まだノープランですがwゆっくり考えますね! (2019年10月6日 1時) (レス) id: 657646c020 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:めろん | 作成日時:2019年6月25日 17時