*3 ページ10
.
………もしかして、、Aちゃんが、、、泣いてる。
「ごめっ、、、、高嗣の声、、聞いたら、、、なんか、、、ホッとして」
一生懸命、絞り出す様に話そうとするから。
「うん、大丈夫。いいよ、そのままで」
そう伝えると……しばらくの間、電話越しにすすり泣くAちゃんの声だけが聞こえる。
何だか、俺までグッときちゃうよ。
コンクールに向けて、きっと精神的にも体力的にも追い込んで、大変な日々を過ごしてたのかもしれない。
そして、本番はものすごいプレッシャーと闘って。
そんな強さを持ったAちゃん。
なのに俺の声を聞いて泣き出すなんて、、、何だかもう、たまらなく愛おしくて。
………今すぐ飛んで行って、、、ギュって抱きしめたいよ。
しばらく経って、やっとAちゃんが落ち着いた。
今日(ていうか明日?)……Aちゃんはもう、コンクール入賞者の出演するコンサートのために別の街に行かなきゃいけなくて、移動のために朝6時の電車に乗らなきゃいけないんだって。
そのあとも別の会場に移動して、レセプションっていう忙しい一日らしい。
俺もこれから仕事だし、そんなに長くは話せなかったけど。
いつも以上に忙しい年末だけど、Aちゃんも海の向こうで頑張ってるのが伝わって、めっちゃ元気貰えた。
なのに。
移動の車の中で、ふと気になって。
有名なピアニストを何名か検索してみた。
俺、、、クラシックの事知らなすぎるから。
そして、湧き上がって来る不安。
国際的に活躍するアーティストは、日本人でも海外を拠点にしてたり、世界各国で演奏活動をしてたり。
もしかしたら留学を終えても、日本に帰ってこないんじゃ?って。
もちろん、国内で活躍してる人はたくさんいるし、これから先の事なんて、どーなるのかわかんないんだから考えてもしょうがないけど、、
Aちゃんの世界の事を知らなすぎる分だけ、なんだか遠い人になってしまうんじゃって不安がよぎる。
せっかくまた、気持ちが繋がったのに。
だけど、Aちゃんだって俺みたいな“アイドル”を好きになって、、、いろんな壁があって、同じようにたくさん悩んだんだよね、きっと。
この先………俺たちどうなってくのかな?
でも、、それからすぐ。そんな不安を吹き飛ばしてくれるような、嬉しい知らせがあったんだ。
.
632人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「Kis-My-Ft2」関連の作品
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:めろん | 作成日時:2020年8月6日 12時