Mother Moon ページ1
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あれから。
飛び立った飛行機が見えなくなるまで、その行方をずっと見届けた。
空港の近くの高台にある、公園の駐車場。
もうすっかり暗くなった空。
ぽっかりと浮かぶ月が白く輝いてる。
「行っちゃった・・・」
思わず声に出たその言葉は、自分でもびっくりするくらい小さくて掠れてて、、、もちろん誰にも届かない。
さっきまで、Aちゃんがここにいた残像。
抱き寄せた時の温もり。
まだ耳に響く声。
涙と、、笑顔。
昨日の夜は確かめ合えた、その体温。
また、あっけなく遠くなってしまった…………けど。
数日前までとは全然違う、自分自身の気持ち。
やっぱり繋がっていた………Aちゃんとの絆。
逢えて良かった。
もう、それだけで。
何があったのか訳のわからないままAちゃんが姿を消して、ずっとずっと暗闇の中にいるみたいだったけど。
全てがわかって、もう一度この腕でAちゃんを抱きしめることが出来たんだ。
だからもう、絶対に離さない。(行っちゃったけど)
遠く離れていても、気持ちが繋がってるって信じ合える。(もう今すぐにでも逢いたいけど)
あと半年もすれば、また日本に帰って来るんだし、うん。
淋しくなんか、、、ない。
「行ってらっしゃい。」
今度は掠れないように、Aちゃんに届くように、、声にして言ってみた。
いい加減、そろそろ帰らなきゃ………そう思って車のギアに手を伸ばしたその瞬間、FMラジオから流れてきたのは、聞き覚えのあるイントロ。
え、、、俺達の曲じゃん。
思わず手を止めて、結局また駐車場でそのまま聞き入る。
満月の夜だから、タイトルに「月」とか「MOON」とか入ってる曲のリクエスト特集みたい。
生まれ出た感情は
もう迷わない揺るがない
人を愛する意味が初めてわかった
on the Mother Moon
あの月よりあの星より輝く愛の証を
君のその細い指にまたたかせてみせるから
時を超え夢を超え
君と共に歩こう
月の光が二人のキズナを包む
on the Mother Moon
…………。
めっちゃいい曲じゃん、俺ら(笑)
『もう迷わない揺るがない』
うん。淋しくなんか、、、ない。
ウインドウの向こうに瞬く白い月をもう一度眺めて、さっきよりも少し軽くなった気持ちでギアを入れて車をスタートさせた。
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作者名:めろん | 作成日時:2020年8月6日 12時