CANDY ページ7
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仕事が終わって、やっと帰宅。
そのままバスルームに直行して、シャワーを済ませる。
冷蔵庫の扉を開けると冷えた缶ビールが目に入ったけど……今日手に取ったのはミネラルウォーター。
それから、キャビネットの薬の入った引出しからいつもの小箱を出して、中のタブレットをその水で流し込む様に飲み込んだ。
………ハァ。
低気圧。
雨降り。
いつもの偏頭痛。
そのままリビングのソファーに沈み込むと、目を閉じる。
こんな日は、やけに逢いたくて。
声が聞きたくなって。
その顔を思い浮かべる。
今頃何してるかな……あ、髪乾かさなくちゃ………なんて考えながら、仕事の疲れからかいつの間にか意識を手放した。
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夢を見た。
桜の写真の待ち受けを見つめてるオレ。
痛い記憶。
なんの前触れも無くいなくなったAちゃんを、真っ暗闇の中探すけど…どこにもいない。
叫んでも届かない声。
運命の悪戯みたいな、彼女との出逢いと再会。
柄でもなく、逢えただけで嬉しくて。
みっともないくらい全てが愛しくて。
こんな感情が、まだ自分の中にあったことを知った。
胸ポケットに入ってた甘酸っぱいキャンディーを掌にのせて、ギュっと握りしめる。
でももう、諦めた方がいい。
忘れなきゃ。
想いを飲み込んで、暗闇の中で流す涙………。
「Aちゃん、、、
そこで、目が覚めた。
気付けば、薄暗い部屋のソファーの上。
慌てて、スマホを確認する。
待ち受けは、Aちゃんが送ってくれたドイツのクリスマスツリーの写真。
タップして、Aちゃんとのトーク画面を開いて確認する。
…………良かった、夢で。
偏頭痛の時は、見る夢もヤな感じだ。
でも薬が効いたのか、帰宅した時よりも頭はスッキリしてる。
部屋の電気を明るくして、ふと時計を確認すれば、、、もう夜中の3時。
うそっ、、どんだけ寝てんの、オレ。
だけど。
もう一度トーク画面を開いて、通話ボタンをタップした。
もう家に帰ったかな?
時差を考えたら、ちょうどいい時間じゃない?
何回かのコール。
『もしもし、、、高嗣?』
良かった。
夢じゃないよね、これは。
ただひとつ………胸ポケットにしまってるキャンディを食べて欲しいのは、、、君だけだから。
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作者名:めろん | 作成日時:2020年8月6日 12時