*2 ページ5
.
日照時間が短くなると、空にはこれまで以上に厚く重い雲がかかって、凍えるような寒さの冬がやって来る。
太陽があまり出ないと気持ちが沈みがちになるけれど、ドイツの冬の風物詩でもあるクリスマスマーケットは、美しい装飾と光のイルミネーションで活気に溢れて、長い夜を楽しみに変えてくれる。
だけど去年と違って、今年はコンクールを控えて練習練習の毎日。
なかなか出掛けられなかったけれど、メリナ先生の都合で半日のオフが出来たから、気分転換も兼ねて一番仲良くしている友達のエマとクリスマスマーケットに繰り出した。
屋台には手作りの木製おもちゃや可愛いハート型の焼き菓子、それにクリスマスのオーナメント、、、色とりどりのものががたくさん並んでいて、何だかウキウキした気持ちになれる。
焼きたてのソーセージを食べたり、赤ワインに香辛料やシロップを入れた温かいグリューワインを飲んだり。
束の間、クリスマス前の陽気な雰囲気を楽しむ。
いつか高嗣と来れたらいいな……なんて。何を見ても、高嗣の顔が浮かんでくる。
最近は私からはピアノの話しかしてないし、高嗣も仕事が忙しいみたいだし。少しでもクリスマスの楽しい雰囲気が伝わればいいなって、たくさんの写真をメールで送った。
自撮りは苦手だから、エマに撮ってもらった写真も一緒に。
その日の夜は、珍しく天気が良くて。
もともとドイツは省エネ意識が高いから、日本に比べると外灯もネオンも少ない。
だから、光に溢れたマーケットの広場を少し離れたら、空には満天の星が輝いてるのが見えた。
まるでプラネタリウムみたいで、思わずエマと一緒に「きれい!」って声が出てしまう程。
アパートに戻ってからも、カーテンを開けるとたくさんの星が見えた。
そして、さっきは登っていなかったまあるい月がポッカリ空に浮かんでる。
冬の澄んだ空気の中、青白く輝く光。
ドイツに戻るとき、高嗣の事を想いながら飛行機の中から見た月を思い出した。
照明を消した部屋に、その月の光が射しこんで部屋全体をほんのり幻想的に染める。
一瞬、この月を高嗣も見てるかな?って考えて、、、もうすぐこの時間は日本は朝だって気が付く(笑)
……………高嗣に逢いたい。
急に、そんな想いが込み上げる。
溢れてくる気持ちが止まらなくなって、、、ギュって胸を掴まれたように切なくなる。
.
632人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「Kis-My-Ft2」関連の作品
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:めろん | 作成日時:2020年8月6日 12時