INNOCENT DAYS ３

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でも、いよいよツアーが始まって、新しいお仕事も重なったりしてさらに忙しいみたい。




会えない日が続いた時は、たまにちぃちゃんに付き合ってもらって、フワフワのパンケーキを食べたり、ショッピングに出掛けたり。



新作のステージ用のドレスを試着して、2人で「似合う！」なんて言い合って。



ちょっとは女の子らしい事もしてる(笑)









ピアノ教室のお仕事では、いつかお孫さんと連弾したいって通っている生徒の橘さんがわざわざ「A先生、優勝おめでとう。」って、お祝いのお花を持ってきてくれた。



コンクールの日も、お孫さんと一緒に見に来てくれていたらしく「感動して、ちょっと泣いちゃった。」なんて言ってくれて。



「ピアノがもっと好きになった」って、練習もさらに頑張ってるから、お孫さんと一緒にピアノを奏でられる日も近いはず。




教員免許取得のために、夏休みの間ここに通ってた大学生の松村君も、無事に合格して勤務先が決まったことを報告してくれたり。



ピアノを通して、いろんな人の人生を彩るほんの少しのお手伝いができるこの仕事が、改めて好きだなって思える。









レッスンを終えると、週に一回のペースで再開したラウンジの仕事へ。



もちろん、ここも元々は生活のために始めたピアノのお仕事だったけど、クラシック以外のポピュラーやジャズを中心に弾くことで、表現にも幅が広がって勉強になっていたんだなって実感する。







そういえば、高嗣は私をここで見つけてくれたんだ。




………あの、オレンジの夕陽に染まった2人の出逢い。




細くって、痩せた迷子の子犬みたいだった高嗣。




それから数年後の、、、スタジオでの再会。




大人になって、尖った広い肩幅。




細いウエスト、長い手足、、、そしてきれいな指先。




だけど、瞳の奥はあの日の子犬みたいに綺麗なままで。








あの日よりもっと前に。




ここでピアノを弾いてた私に、高嗣は先に気付いてくれてたんだった。




見えない糸が繋がっていたみたいに、いろんな偶然が重なってまた巡り合えた。



奇跡みたいな再会に、今はすごく感謝してる。



そんな気持ちで、鍵盤に向かいメロディーを紡ぐ。



高嗣のことを想うだけで、幸せな気持ちになれるよ。









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