INNOCENT DAYS ３

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とにかくAちゃんを見届けると、席を立って会場を後にした。



現場に戻って、なんかフワフワした気持ちをどうにか切り替える。



でもどっか、さっきのAちゃんの姿が目に焼き付いたみたいに離れない。



何だろう、、、この気持ちは。



俺の知らなかった世界と、知らなかったAちゃんの姿を見て、何だかAちゃんが手の届かない人に感じるっていうか。




そんなモヤモヤした気持ちとか、コンクールの結果を早く知りたい気持ちとか、なんかそわそわした俺にすぐに気付いたミツから、控室で「どした？」って聞かれた。



「ううん、なんでもない。」



って慌てて答えたけど、きっと何かを感付いてるかもね………ミツなら。



ダメだ、ちゃんとしないと。



まだ撮影は続くから、目の前の大事な仕事に集中する。





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それでもやっぱ結果が気になって、合間の休憩時間にメールを確認すると………Aちゃんから短いメッセージが入ってる。



“びっくりだけど、まさかの優勝だよ私！”
“後でまた連絡するね”




わ、やっぱスゲーな。



Aちゃんのピアノがすごいって事はもちろん感じてたけど、他の人の演奏は聞いてないし、そもそも聞いたとこで、俺なんてその優劣はわかんねえし。



でもこうやって、コンクールで評価されるって事は、やっぱAちゃんのピアノは本物なんだなって。



自分のことみたいに嬉しくって誇らしいのに、さっきからのモヤモヤがちっとも晴れないのはなんでだろ。



だけどきっと忙しい中、こうしてちゃんと結果を知らせてくれてありがと。



ふと顔を上げると、そんな俺のことニヤニヤ笑って見てるミツと目が合った。



「今日、スマホばっか見すぎじゃね？笑」



「………う、うるせー。」



ミツには、何でもすぐ見抜かれてるな。



でも次の撮影に呼ばれたから、それ以上何の反論も出来ないまま、とりあえずAちゃんには“おめでとう”のスタンプを送っといた。





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やっと撮影を終えて控室に戻る。



ミツの視線が気になったけど、まだ個人の撮影が続いてて戻ってないし、やっぱすぐにAちゃんから連絡がないかスマホをチェックする俺w。



そしたら、今食事中だってメッセージと

“今日は来てくれたんだね”
“びっくりしたけどすごく嬉しかった”
“高嗣のおかげで頑張れたよ”

………って言葉。



え、、、嘘、、、Aちゃん……俺が会場に行ってたこと、気付いてたんだ！


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