True Colors ３

Forget-me-not〜Y＊1 ページ46

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ランチを済ませてお店に戻る。



ロッカールームでメイクを直してると、店長に呼ばれた。



「あ、Aさん！よかった。予約なしのお客様なんだけど、いい？」



私が呼ばれるということは、担当のブライダルコーナーへのお客様だろう。



今日は平日だから、予約にも時間のゆとりがあって対応できる。



「大丈夫です。」



「良かった。実は新宿店からわざわざ来てくれたみたいなの。Aさんのお知り合いかしら？」



「え？」




新宿店は、以前私が勤務してた場所。



誰だろう？急いでフロアに向かった。









私は大学を卒業して、憧れだったブランドのジュエリーショップで働いている。



入社すぐに勤務した新宿の百貨店内のショップを経て、今は銀座の本店でブライダルジュエリーのチーフにまでなれた。



肝心の私は30歳にもなってまだ独身だけど……ジュエリーが好きだし、お客様の幸せのお手伝いができるこの仕事にやりがいを感じてる。








店舗の2Fにあるブライダルのコーナー。



スーツ姿でショーケースを見てるスラっとした長身の男性がいる。



あの方だろう。お客様は独り？



「お待たせ致し、、、」



声を掛けるのと同時に、こちらに振り向いた男性を見て………一瞬息が止まるかと思った。



「渉………？」



自分の声が震えてるのがわかった。



「A。」



私を見て、柔らかく笑ったその人。



黒縁眼鏡の奥の優しい瞳。



変わらない頬のえくぼ。



屈託のないその笑顔は、5年前とおなじ。






「…………どうしたの？」



「フフ、冷たいな。俺一応お客なのに。」



「す、すみません。」



渉の言葉に我に返る。今は接客中だ。



「俺さ、先月東京に戻ったんだ。」







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渉とは大学の同級生。



入学して割とすぐに、彼の方から告白された。



長身で痩せてて、端正な顔立ち。



教室でも目立つ存在だったけど、あまり話したことはなくて。



「とにかく俺と付き合ってみて。」って言われて戸惑ったけど……半ば強引な感じで付き合うことになった。





初めはクールで無愛想な人、って印象だったのに………話してみたらおもしろくて意外にお茶目で可愛らしいところもあって、そのギャップにどんどん魅かれた。



渉は、頼りになるお兄ちゃんみたいで、可愛い弟みたいで、何でも話せる親友みたいで、、、何よりも大切な恋人になった。




大学を卒業してからも、その関係は変わらなかったのに。



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