True Colors ３

元気が出る魔法を〜T＊1 ページ43

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「これ、まとめておいてくれたの…A？」



「あ、はい。そうです………。」



「さんきゅ。Aのまとめてくれる資料、いつも見やすくて助かるわ。」



営業二課の憧れの先輩、玉森さん。



いつも何気なく、私の頑張ったところを見てくれていて、こうしてさらりと褒めてくれる。






入社してすぐ玉森さんの下について、今年で2年目。



ふわっとしてつかみどころがなくて、、だけど仕事に対する姿勢は真面目で。



努力する姿勢を周りに見せることはないけど、いつの間にか新規の顧客を勝ち取って来る。



人の心に入り込むのが上手いみたい。



「ハイ、これ御褒美。」



そう言って、笑顔で私に差し出したのはラッピングが可愛いレモンタルト。



「お客さんのところでもらったお土産だから。」



「わ、美味しそう！ありがとうございます。」



甘いものがそんなに好きじゃないらしい玉森さんは、こうして時々お客さんからの頂き物を私に分けてくれる。



餌付けされたわけじゃないけど、いつの間にか私の心にも入り込んで、こんなコトぐらいで嬉しくてドキドキしてしまう私は、かなり単純なのかも。



だけど、玉森さんの元で働けるのが嬉しくて、時々褒められたり優しくされるともっと嬉しくて。









学生時代から、どちらかというと目立たなくて、、、好きな人が出来てもずっと片想いだった私。



自分に自信なんてないから、告白なんてできるはずもなくて、恋心はいつも自分の胸に閉じ込めたまま、、、もう社会人になってしまった。







でも、この片想いはそう長くは続かなさそう。



玉森さんには、エリートコースの海外営業所への転勤の噂があるから。






海外に行ってしまう前に、想いを伝えたい。


こんな自分を変えたい。


………そう思っても、なかなか勇気が出せない。









そんなある日、、玉森さんが部長室に呼ばれた。



まさか、、もう辞令？



営業課の他の社員も「いよいよ？」なんて、ひそひそと話してる。



何だか想像以上にショックで、その場にいられなくて、、、給湯室に逃げ込んだ。






水をジャージャー流しながら、洗い物をする。



新人時代、ミスして落ち込んで、、この給湯室で泣いてたら、たまたま通りかかった玉森さんが、



「ホイ、元気が出る魔法。」って言いながら、ポケットからキャンディーを出して、私にくれたことを思い出した。




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