True Colors ３

＊3 ページ24

.



「子供の頃からずっとダンス習ってて、、、踊ることが大好きで。


将来はダンサーになるって決めてたんです。でも………、」


「でも？」


「親に猛反対されて………逆らえなくて。


ニューヨークにダンス留学するはずが、親の勧めるパリへの留学に変わっちゃいました。」



千賀君がちょっと切なそうに苦笑いして、グラスに残ってたカシスオレンジを一気に飲み干す。


あんまりお酒は強くないみたいで、いつも私より女子っぽい可愛いカクテルを飲んでる。




「それより………百瀬さん！僕も百瀬さんの事、Aさんって呼んでいいですか///？」



「え？」



急にそんなことを言い出す千賀君。



「べ、別にいいけど………。」



社内の同期とか後輩とか、親しい人にはAとかAさん、って下の名前で呼ばれてる。


「やった！」



それだけでホントに嬉しそうにニコニコ笑ってるから、何だかほっこりする。



「ふふ………それより千賀君、お酒あんまり強くないんだから、これ以上飲みすぎないようにね。」


「ハイ、大丈夫です！今夜はAさんのこと、僕がしっかり守りますから！」



「何それ(笑)…もう、調子に乗らないの！」





千賀くんは聞き上手で、これまでの仕事の話とか学生時代の事とか、話が弾む。



私の話に対して、絶対に否定的なことは言わず“うんうん、わかります”“すごいですねー”って、瞳をキラキラさせながら相槌を打ってくれて。


優しい子なんだなって思ったら、その綺麗な瞳に吸い込まれそうになってドキドキした。





千賀君はちゃんと私の言ったことを守って、あれからずっとノンアルカクテルを飲んでたのに。



何だか私の方が、自分のペースを上手く守れなくて飲みすぎちゃって。


………お手洗いに席を立ったら、何だかフラフラする。






「そろそろ帰りましょうか？」


席に戻ると、千賀君がいつの間にかお会計を済ませて、タクシーまで呼んでくれてる。


「あ、、、うん…ゴメン、千賀君。………なんか酔ってるかも、私。」



「フフ、大丈夫です！

今日のAさん、すごく可愛いです。」



「/////………それって、いつもは可愛げ無いってこと？」


照れ隠しに、そんな事を言ってしまう。



「もう、違いますって！あ…ほら、タクシー来ましたよ。」



私を支えて、スマートにリードしてくれる今夜の千賀くんは、何だかすごく頼もしい。




.

＊4→←＊2

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す