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「元気出して………なんて無理に決まってるよね、こんな時に。
ゴメンね、藤ヶ谷君。
金八先生みたいに、気の利いたこと言ってあげられない。」
結構真面目にそう言ったのに、プッて吹き出してるし。
車はちょうど、学校の駐車場に着いた。
初夏の夕暮れの日差しが眩しく照りつける。
「金八先生にはできなくて、Aにだけ出来ること…あるでしょ?」
「え?」
思わず藤ヶ谷君を見ると、西日色に照らされたその横顔がやけに大人びて見えて、ゾクッとする。
「こういう時はさ、何にも言わずに抱きしめてキスしてくれんじゃないの?大人の女は。」
「はっ??///???な、何言ってるの?」
「フフ、やっぱAかわいーわ。こんなんで真っ赤になっちゃうとか。」
「………もう!一応教師なんだから、からかわないで///!」
照れくささを隠すように焦りながら車を降りて、右手が不自由な藤ヶ谷君をサポートしようと助手席側にまわってドアを開ける。
「ね………あのさ、この助手席。俺以外、誰か他の生徒乗せたことある?」
「え??別に乗せたことは…ないけど。」
不思議な質問。
「よっしゃ!じゃ、俺が一歩リードだな。」
「…………?」
何だかよくわからないけど、病院での涙がウソのように屈託のない笑顔を見せてくれるから、ちょっとホッとした。
そのまま一緒に体育館まで連れて行くと、途端にわーってバスケ部の仲間や後輩たちに囲まれてる。
三角巾で吊るされた腕が痛々しい。
「ゴメンな………心配させて。
やっぱ骨折だって。」
心配してザワザワしていた部員たちが、その言葉でシーンと静まり返る。
「ホント、迷惑かけてゴメン。
俺、こんなだけどちゃんと最後の大会までキャプテンとして出来ることはするから。
練習のサポートだって出来ると思うし、、、」
女子マネージャーのすすり泣く声が聞こえる。
ホントは藤ヶ谷君自身が、一番悲しくて悔しくて………やり切れない想いでいっぱいだろうに。
藤ヶ谷君の強さに、すごいなって感心させられた。
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それから、主戦力を欠いたバスケ部はあっさり県大会の予選で負けてしまって、、、高3生たちは本格的な受験シーズンへと突入した。
だけど藤ヶ谷君は、相変わらず「おなか痛いからちょっと休ませて」とか「頭痛がする」とか、、、ホントかウソかわからない様な理由を作っては保健室へやって来た。
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めろん(プロフ) - 花菜さん» 花菜さん、コメントありがとうございます!拙いお話しですが読んで頂きありがとうございます。これからもよろしくお願いいたします。 (2021年6月26日 0時) (レス) id: 230cd38611 (このIDを非表示/違反報告)
花菜(プロフ) - はじめまして。最近キスマイが好きになったのでたどりつきました。以前は嵐さんのお話が好きで色々読んでたのですが、つむさんのサムシングファイブの中の翔くんのお話と横尾さんのお話がそっくりですね? (2021年6月25日 21時) (レス) id: 0bb3add5b6 (このIDを非表示/違反報告)
めろん(プロフ) - りっちゃんさん» わぁー「温かい」コメントに、私の気持ちもほっこりです(´▽`)ありがとうございます。これからの寒い季節もキスマイの冬うたであっためてもらいましょうね♪ (2019年11月23日 0時) (レス) id: 657646c020 (このIDを非表示/違反報告)
りっちゃん(プロフ) - 渉くんのお話読みました!とてもほっこりして温かい気持ちになりました!寒い今の時期にぴったりだなと思ってしまいました;ω; (2019年11月22日 15時) (レス) id: 3f1fc3d1a7 (このIDを非表示/違反報告)
めろん(プロフ) - piroponcandyさん» いえいえ、すみませんだなんてとんでもない。ありがとうございます。横尾さんの不器用だけど真っ直ぐな愛が伝わると嬉しいです。出来るだけはやく移行出来るよう頑張りますね! (2019年11月21日 22時) (レス) id: 657646c020 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:めろん | 作成日時:2018年8月21日 17時