True Colors ３

雨の日と、グレーの傘と。〜T＊1 ページ1

.



「あの………すみません。」


その声で、目が覚めた。


！！！！！


やっちゃった！





月曜日の終電。



残業で疲れて………つい、ウトウトしてしまったみたいで、隣の席の人の肩にもたれて眠ってしまった！



今日は、月曜日の定例会議が長引いて、その後押し付けられるように任された資料の修正にてこずって、ずいぶん帰りが遅くなってしまった。



月曜からツイてない。








「ごめんなさい。俺、次で降りるんで。」


そう言われて、我に返る。


「はっ、いえ…すみませんこちらこそ///。」


そう言いながら、相手の顔を見てさらに驚く。





その人は、通勤電車でよく見かける人で。


実はずっと、素敵な人だなぁって思ってた人だったから///。





スラっとして背が高くて、色白で綺麗な顔立ち。


モデルさんかなって思うようなルックスで。


でも、いつもパリッとカッコよくスーツ着てる。


………たぶん普通にサラリーマンだとは思うけどw





いつの間に私の隣に座ったんだろ？


ああ、もう恥ずかしすぎる///。








電車がそのまま、駅に滑り込む。


席を立って、私に一礼して降りて行く…その人。





………ていうか、私も降りないと。


私も同じ駅、だから。


いつも朝この駅で見かける人、だから。


もちろん私が一方的に見てるだけだけど。







なんか………気まずい。


降りないわけにいかないから、その人が降りてから、その後ろをそっと行く。









改札を抜けて、雨が降ってることに気が付いた。


傘ないし…。


あ〜もう、今日はとことんツイてない。





信号の先のコンビニまで走って、傘を買えばいいかな？


でもあそこまで走ったら結構濡れそうだし、だったらそのまま家まで帰っちゃっても一緒？


そんなことを考えながら、信号が青になったのを確認してとりあえず雨の中を走りだそうとした、その時。



交差点の先で、振り向いた人と目が合った。


傘を差していたから気が付かなかったけど………あの人で。


こっちに向かって、歩いてくる。





「傘……ないの？」



え………、私？


私、話しかけられてるの///？



「………ハイ。」


ドキドキして、自分でも驚く位小さな声しか出なかった。



「帰り道こっちなら、入ってけば？」


そう言って、私に差しかけてくれた大きなグレーの傘。




嘘？


ホントに？


………………神様、ツイてないなんて言ってごめんなさい。



.

＊2→

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す