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「これ………私が持つの?」
やんちゃな笑顔の二階堂君がこっちを見てる。
「だって、Aはニカでいいでしょ?」
「え?」
聞きなれない“ニカ”の呼び名にドキッとする。
そうだ。
二階堂君は“ニカ”とか“ニカちゃん”って呼ばれてるんだった。
彼はアイドルだってことに、今更ながら胸の奥がチクンと痛む。
「だって、ニカと一緒のお仕事したって…。」
「そ…そうだけど、そういう問題じゃなくて。これ、私が持つの?」
思わず、また同じ質問を繰り返してしまう私。
「あれ?誰か、他のメンバーのファンだったの?」
「だ、だからそうじゃなくって。その………ペンライトとか団扇とか…恥ずかしいんだけど。」
「な〜んだ。」
そう言って私を見ると、ちいちゃんがクスクス笑い出す。
「全然大丈夫だよ。せっかくのライブなのに、楽しまなきゃ!」
「うん…………そうだね。」
やっぱり少し気恥ずかしい。
でも、ちいちゃんの言う通りせっかくのライブ……楽しんだ方がいいに決まってる。
アイドルである二階堂君のこと受け止め切れるのか、ライブへの不安はまだ胸に燻っているけど。
ちいちゃんの何気ない一言のおかげで、ちょっと気持ちが楽になった。
「じゃあ、そろそろ行こうか?」
「うん。」
汗をかいたアイスティーのグラスを手に、最後の一口を飲み干して席を立つ。
空になったグラスの氷が、コトリと小さな音を立てた。
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「あ〜もうすぐ始まるよ!」
大きくて広い会場。
スタンドの前方。
ちいちゃんがバクステと呼ぶステージが近くて、かなり見やすい良席に、私より興奮気味な彼女(笑)
「ここをキスマイが通るんだよ!」
目の前の花道を指差してる。
周りのお客さんも口々に「ヤバい」「近い」って話す声が聞こえてくる。
思ってたよりも近くに二階堂君が来るのかも…そう思うと、私もいらない緊張感でいっぱいになって来る。
照明が落ちて、一瞬の静寂の後にものすごい歓声が沸き上がる。
ローラースケートを履いた7人が登場すると、その歓声はより一層大きくなる。
驚きのオープニング。
お腹の底まで響いてくるような音とともに、歌って踊る彼ら。
全身が心臓になったみたいにドキドキする。
瞬きするのも忘れる位、キラキラしたその姿に釘付けになる。
私の視線の先には………今まで見たことのない、二階堂君がいた。
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めろん(プロフ) - ユーミンさん» ユーミンさん、いつもマイペース更新にお付き合いいただきありがとうございます!そうなんです、この2人には穏やかにゆっくり恋してて欲しいなって(笑)これからものんびりお付き合いくださいね♪ (2018年11月22日 10時) (レス) id: 85fa9eafbf (このIDを非表示/違反報告)
ユーミン(プロフ) - お友達にバレたかな?どうかマスコミとかに漏れませんように。この2人は穏やかに愛を育んで欲しい。これからどうなるのかドキドキです。てこ、ニカちゃんカッコ可愛い。 (2018年11月21日 21時) (レス) id: 59b8f94fa2 (このIDを非表示/違反報告)
めろん(プロフ) - ユーミンさん» 蒸し暑いとは!そうなんですね〜、日本は広い(笑)ニカちゃんと主人公ちゃん、これからもよろしくお願いします。 (2018年9月21日 17時) (レス) id: 85fa9eafbf (このIDを非表示/違反報告)
ユーミン(プロフ) - 九州は蒸し暑いです。ニカちゃん達の、これからの発展が楽しみ〜。シャイな2人だけど、幸せになってほしいです。 (2018年9月21日 13時) (レス) id: 59b8f94fa2 (このIDを非表示/違反報告)
めろん(プロフ) - ユーミンさん» ユーミンさん、あったかいコメントありがとうございます。これからもマイペースに頑張りますね♪そして、一緒にキスマイを応援しましょう!(^^)! (2018年9月11日 9時) (レス) id: 85fa9eafbf (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:めろん | 作成日時:2018年6月20日 17時