INNOCENT DAYS

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「じ、自分で拭くから。」



近付く彼女との距離感と、その髪から匂う上品な香りにどぎまぎして。



もしかして、無意識？




彼女の手からハンカチを奪うように取る。



なのに不意に触れた手が、もっと鼓動を加速させる。



「ね………いつからいたの？すごく冷えてる。」



そう言って、俺の手を包み込むように温度を確かめてる。



もう……何なの？



その質問には答えない。



濡れた腕をちょっと雑に拭きながら、自分の気持ちをごまかす様に



「………ゴメン、おねーさんのハンカチ、また濡らしちゃった…。」



話をそらした。



「え？いいよ…そんなの、全然。」





「ね、おねーさん………名前、なんていうの？」



とにかく空気を変えたくて、ちょっとおどけてそう聞いてみた。



「あ……A、白石A………です。」



「Aちゃんね(笑)………で、歳は？」



ちょっとふざけて聞いたのに。



女の子って、年齢聞くと大抵一度は「え〜？」って返してきたりはぐらかしたりするから。



なのに、名前も歳もあっさり素直に答えてくれて。



ん……っていうか、



「俺と、一個しか違わないの？もっと上かと思った。」



「何それ、老けてるって言いたいの？」



「え、あ、ちがっ………そういう訳じゃなくって。」



思わず笑いあって空気が緩む。



歳が思ったより近くって親近感が湧いたし。








でもホント、なんてゆーか、大学生…って感じよりも、すごく落ち着いてない？



っていうか、何だかふとした時の表情が淋しそうで………だから余計に大人っぽく見えんのかな。




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