INNOCENT DAYS

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今日、大きな決断をした。



でも清々しい気分にもなれる訳じゃなく、今日のグレーの空みたいに私の気持ちは何となく沈んでるけど。



外に出ると、天気予報通りに雨がポツリポツリと降り出した。



始めはそのまま歩いてたけど、徐々に強まる雨足に持ってきた傘を広げた。





駅に戻る途中………まさか、昨日の彼が自分を待ってるなんて思ってもいなかった。




傘の向こうで、キャップを深めに被った彼が、私を見つけてフッて微笑んだ。



びっくりして駆け寄ると、屈託のない子供みたいな笑顔で



「待ってて良かった。」ってつぶやいた。



トレードマークみたいな目尻のほくろと、笑うとできるしわ。



ちょっとだけキュンってする胸を無視して、自分の傘を半分差しかける。



被ったキャップも、Ｔシャツの肩も、半袖からのぞく腕も、ジーンズも………雨に打たれて濡れている。



それも、かなり。



「ちょっと………いつからいたの？傘は？」


「ない………。」



やっぱり迷子の子犬なの？



「ね、あそこ…行こ。」



少し離れたところにある、公園のあずまやを指さす。



あそこなら屋根もあるから濡れずに済んだのに。



傘を差しかけたまま、一緒に移動して、



「これで拭いて。」



慌てて、バックからハンカチを出して彼に差し出したけど



「大丈夫。」



そう言って受け取らない。


そして、



「昨日はありがとうございました。これ…。」



そう言って、自分のカバンから小さな紙の手提げを私に差し出した。



中には、昨日のハンカチとたぶん千円札が入ってると思われるポチ袋。



昨日は成り行きとはいえ知らない人だったし、返してもらえるとも思っていなかったから。



こんな雨の中わざわざ私を待ってくれてたことにびっくりする。



見た目はチャラそうだけど(失礼！)、案外律義な子なのかな？



「それから、これ…。」



そう言って更に差し出したのは、コンビニの袋に入ったチョコやグミ。



「………お礼。」



消え入りそうな小さいな声で。



「えっ」



「どんなのがいいか、わかんなくて。」



すごく恥ずかしそうにしてるから、こっちまで何だか照れくさい。



「ありがとう。わざわざ雨の中、ゴメンね。」



濡れたその姿が何だか頼りなげで、ホントに雨に打たれて迷子になってる子犬みたいで。



「ね、風邪ひいちゃう。」



やっぱりどうしても放っておけなくて、とりあえず雨に濡れた腕を拭いてあげる。




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