INNOCENT DAYS

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翌日。



思い切ってあの公園で待ってみることにした。


具合が悪いから、今日もレッスンは休むって連絡を入れておく。





天気は昨日とは打って変わって、朝からどんよりとしたグレーの梅雨空。


まだエアコンを入れていない室内も、肌に纏わりつくような湿気が不快感を増幅させる。



でも昨日みたいな炎天下の空のもと、来るかわからない相手をただただベンチでボーっと待つよりかは少しは凌ぎやすいかも。



朝飯なのか昼飯なのかわかんないような時間に、とりあえずダイニングのテーブルに用意されていたご飯をかき込むと支度をして家を出た。






昨日の駅に降り立つと、今日は辺りを観察しながらあの公園まで案外スムーズにたどり着いた。



それから昨日のベンチに腰掛けると、目深に被っていたキャップを少しだけ上げる。



イヤホンから流れる音楽のボリュームもちょっと落として、周囲を見渡す。



彼女が今日ここに来るかはわかんないけど、こうするしか思いつかなくて。






気付いたのは、この辺学生が多いって事。


昨日は何も考えられなくて、周りを見る余裕もなかった。



みんな楽しそうに笑って話しながら、ぼんやりここに座ってる俺のことなんか気にも留めずに通り過ぎてく。


大人っぽく見えたけど、彼女もこの辺の大学生なのかな？




みんな自分と同じような年代の子達なんだろうけど、俺の知らない世界を生きていて…………そしてまた俺は、この人たちが知ることのない様な世界を生きている。


もがいても後戻りできないところに立っていて、もう前に進んでいくしかないことに気付かされる。





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………時間だけが過ぎてく。



とうとう、雨がぽつぽつと降りだした。


目の前の池にも、吹きあがる噴水の水滴のほかに、落ちる雨粒がぽつりぽつりと水の輪を浮かび上がらせる。



いくら待っても、ホントにここに現れるかなんて何の保障もない。



どうしてもあきらめきれない気持ちでまだしばらくそこで粘ったけど、振り出した雨で徐々にＴシャツもジーンズも滲んでいく。


少しずつ身体も冷えてきて。




雨もさっきより強さを増し始めた。




“今日はもう無理かな”


諦めて、ベンチから立ち上がった。




―――――その時。





赤い傘をさして、こちらに歩いてくる彼女を見つけた。





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