INNOCENT DAYS

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次の日は、予定通りそこそこの時間に仕事が終わった。



明日は久しぶりのオフで、ミツから「飲み行く？」って誘われたけど、今日は自分の車だからって断った。



とりあえず、これなら断っても不審がられないでしょ？(笑)





いつも一緒にいて、俺のちょっとした変化にも敏感なミツ。



だけど…Aちゃんとの仕事の詳細は知らないから、今回のことはまだ気付いてない。



いや………もしかしたら、最近なんかあった？くらいは勘付いてるかもね。



だから、さっきも誘ってくれたのかな？





ミツはデビュー前、いろいろと拗らせてダメダメだった俺のことを、根本から変えてくれた大事なひと。



そして、Aちゃんと初めて出逢ったのも………あの頃。



全てがグレーの梅雨空みたいに曇ってたあの頃の俺の記憶の中で、キラキラして眩しい夕陽とオレンジ色に縁どられた逆光のシルエット………あの光景だけが、静止画みたいに未だに俺の心の中に焼き付いてる。



それが、Aちゃんとの出逢い。



Aちゃんとの事、ほんとはミツには聞いて欲しい気もするけど、聞かせる程の進展もまだなんもないのが現実。





また、このままフェードアウトで終わらせたくない。





自分の車に戻って、とりあえずAちゃんに直接電話してみる。



Prrrr....



呼び出し音が響くだけで、しばらくすると無機質なアナウンスが流れて留守電に変わる。



その声が終わらないうちにスマホの画面をを閉じて、車のエンジンをスタートする。




この位、想定内。



エンジンがかかって、カーステレオから流れてきた曲は…あの日Aちゃんも好きだって言ってた曲で、、ちょっとだけ気持ちが上がる。




………大丈夫。




自分にそう言い聞かせて、1回だけ大きく息を吐いて夜の街に車を出した。








ほんの少しの気持ちの迷いもあったけど、そのまま車を走らせて…Aちゃんのマンションの近くまで。




1階の部屋の灯りは付いてない。



途中もう一度電話してみたけど、Aちゃんはやっぱり出なかった。





………それが答え？



いろんな事考えながら、ぐるぐると同じような道を走らせる。






気持ちを固めて、再びAちゃんちの近くまで戻る。


この前と同じ、静かな夜の住宅街。


まだ灯りのつかない部屋。


もう12時を回ってこんなに遅い時間なのに、何やってんの？Aちゃん。




“話したいんだけど。”




そうメッセージを入れた。


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