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OKの声が掛かると、現場の緊張感が一気に和やかなものに変わる。
「じゃあ、一旦休憩。入れる人からに順番に弁当食べて〜。」
そう指示が出たから私も急いでスタジオの外に出て、ロビーのテーブルにさっきのケータリングのお弁当とペットボトルのお茶を並べる。
ガラス張りのロビーの外はもうすっかり暗くなっている。
見晴らしのいい窓からは階下を通り過ぎて行く車のライトや向かいのビル群の灯りが瞬いて見えて、思いのほか長い時間収録に見入っていたことに気付く。
「白石はもう上がり?」
そう聞いてきたのは、ここのスタジオスタッフの高橋さん。
「はい、これで。高橋さん達は、まだ長いんですか?」
「あ〜うん。アイドル君は忙しいからスケジュールもタイトらしくてね。
でも今日だけは初日で時間多めに取ってあるから、みっちりやるみたい(笑)」
「大変ですね。お疲れさまです(笑)」
さっきの彼、アイドルなんだ………。
「あ、白石悪い。スタジオにまだ田中がいると思うから早く食えって呼んできてくれる?」
「了解です。」
スタジオの重い扉をゆっくりと開けて中を探す。
もう数人しかいないから、田中さんの姿をすぐに見つけて呼ぶ。
「田中さん!高橋さんが休憩入れって言ってますよ。」
「お、サンキュー。Aちゃんもお疲れ。」
中では、さっきのアイドル君と木崎さんがまだレッスンを続けてる。
収録中はちょっとおどけてみせたり和やかムードだったのに、むしろカメラが回っていない今の方がそこだけ違う種類の緊張感が漂っている。
テレビの企画だって言うし、もっと緩い雰囲気でやってるのかと思ったけど………そうではなくて、かなり真剣に取り組んでいるんだということが纏う空気の張り詰め方で伝わって来る。
柔軟な子供時代と比べて、大人になってピアノを始めるのは大変なこと。
しかも初心者で、どうやらいきなり両手で弾く曲。
左右違った動きの指使いを、2週間でマスターなんて出来るのかな?
大人への指導に慣れてる木崎さんのレッスン方法が気になって、背後でしばらく耳を傾けてしまった。
「あ〜もう!」
なかなか思い通りに指が動かないんだろう。
「一旦休憩しようか。」
木崎さんの声で我に返る。
スタジオのスタッフとはいえ、ここでは私は部外者。
早く外に出なきゃ。
そう思った時………
驚いた顔でこっちを見てるアイドル君と目が合った。
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めろん(プロフ) - ATさん» ATさん、こんばんは!そうですよね。短期集中の指導ってきっと独特な距離感がありそう♪さらにそれが、お互い記憶に残る相手との再会だったら…。これから2人がどうなっていくのか見守って頂けると嬉しいです。よろしくお願いします!! (2018年4月19日 22時) (レス) id: e52504ed60 (このIDを非表示/違反報告)
AT(プロフ) - 自分のために一生懸命に教えてくれる先生って、師弟愛みたいのだろうけど絶対好きになっちゃうってUTAGE!を観てて思ってました。でももしそれが忘れられない相手だったら…師弟愛じゃなくてきっと恋に落ちちゃいますよね!続きがとっても楽しみです!! (2018年4月18日 21時) (レス) id: 47ef217b76 (このIDを非表示/違反報告)
めろん(プロフ) - yndreamv0mm0vpqさん» コメントありがとうございます。思わず笑ってしまいました!ニカ担じゃないのに読んで頂けてすごく嬉しいです。ニカちゃんがもっとイケメンに思えてくるように頑張りますね(笑) (2018年4月12日 0時) (レス) id: e52504ed60 (このIDを非表示/違反報告)
yndreamv0mm0vpq(プロフ) - にかちゃんがイケメンに思えてくる。ニカ担に失礼か笑笑。もう早くくっついちゃえって感じ。ドキドキして待ってます。 (2018年4月11日 18時) (レス) id: 2cf497b2db (このIDを非表示/違反報告)
めろん(プロフ) - アシュさん» こんにちは。コメントありがとうございます!そんな風に言っていただけると嬉しいです。更新頑張りますね♪ (2018年3月20日 17時) (レス) id: 85fa9eafbf (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:めろん | 作成日時:2018年3月15日 16時