INNOCENT DAYS

＊12〜Side:2 ページ12

.




俺の手の中に残ったのは
あの日、雨に濡れたAちゃんのハンカチ。



2枚目のハンカチは、
出逢った日の夕陽みたいな柔らかいオレンジ色。




濡れたままで大丈夫だよ、って言ってくれたけど、



「洗って返す。」って俺が預かったまま。



本当のことを言えば、、、また逢う口実にしたかったのに。




………結局返すことは出来なかった。






.






あれから………この仕事、もう少し頑張ってみようって決心して。



レッスンにも戻って、今まで以上に真面目に取り組んだ。



あの駅の公園に行けるのは限られた時間になっちゃったけど、どうしても気になってたから時々時間のある時に行ってみたりして。



だけど、あれ以来Aちゃんの姿を見ることはなかった…。





そんな時に発表された、CDデビュー。



このグループなら必ずデビューできる、ってずっと信じてた。



だけど、その時に俺の名前がそこにあるかは………ずっと不安で。



自分の名前もその中にあったこと、心底安心した。





また逢えるかも………って、



また逢いたい………って、ずっとバックに忍ばせてたハンカチ。




あの日、俺にまた頑張ろうって思うきっかけを与えてもらったことに感謝して、




クローゼットの引き出しの奥に







そっとしまった。








.





.





.








デビューして5年が…………あっという間に過ぎた。




戸惑うこともあったけど、とにかく無我夢中の毎日。




派生ユニットの仕事もあったり、最近は少しずつだけどピンでバラエティの仕事もさせてもらったり。


昔、思ってたような場所とは明らかに違う方向を目指して…迷ったり立ち止まったりしつつも、すごく充実した日々を送れてる。









.

＊13〜Side:2→←＊11〜Side:2

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す