城を抜け出そう - 1 ページ8
「 ねー、Aー、 」
『 はい、なんでしょう。 』
「 なんなのこの公務の量!無理なんだけど! 」
『 そうは言われましてもジョンデ様、お兄様であるミンソク様やジュンミョン様はこの倍こなされています。もう少し頑張ってください。 』
「 てかさー、普通に喋ってよ、いつもみたいに。こっちは公務で行き詰まってんのにずっと敬語でさ、嫌なんだけど? 」
『 …そう言う決まりですから。 』
目の前で不満げな顔をしている
この国の第三王子、ジョンデ様は
私が幼い時から仕えている幼馴染の王子。
ここまでくるともはや側近レベル。
ジョンデ様の一通りの世話は
私が担当している。
「 ジョンデ様ってのも気に入らない。 」
あ、怒りそう。
『 あー、はいはい。わかったから。これ、バレたらクビになるの私なんだからね、わかってんの? 』
昔からずっと側にいるため
普段から敬語も使わなくていいし
名前も呼び捨てでいい、
むしろ、そうしてくれと言われている。
が、こちらにも決まりはある。
幼馴染であろうが
知人、友人であろうが
相手はこの国を担う王子様。
私は王子に使えるただの使用人。
こんなこと、あってはならないのだ。
「 そうなったら庇ってあげるってー。 」
『 ほんと、そうなったときは責任取ってよね。 』
陽気でバカそうに見えるこの人は
実はよく頭が回るし
3番目だからか
上をよく見ていて
何をどうすれば上手く行く、とか
とにかく要領がいい。
逆を言えば、ずる賢い。
が、それは彼のいいところ。
周りを見ていないが
雰囲気で状況を感じられる、
空気を読めるが読みすぎる、
長所と短所はまさに紙一重。
掴めそうで掴めない、
それが彼、ジョンデ王子だ。
「 Aー、代わってー。 」
『 無理だわ。 』
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作者名:*** | 作成日時:2018年2月13日 0時