恋、集めました。

STORY.10Yuta.T ver.ー4 ページ38

「…っ」


きっと玉森さん、軽蔑したよね。

アイドル的存在だなんて。

アイドル的存在だけど私の好きな人。


ーーー私の好きな人なの。


「…っ、」


あーもー。

何で涙出て来るのよ。

こんな顔じゃ、仕事戻れないよ。


少しだけ、休んでいいかな。

ちょっとだけ。


屋上は私の心とは正反対で。

雲ひとつもない綺麗な青空。

缶コーヒー買って

ちょっとだけ休憩。


「…これからどんな顔して
会えばいいんだろう」


誰も居ない屋上で

大きな独り言。


「…はぁ」

「でっかいため息だな」

「！！？？」


振り向くとそこには玉森さんが居て

びっくりして、声も出ない私に


「…忘れ物。
メモしたノート忘れちゃダメでしょ？」

「……」

はい、と手渡しされたノート。


「佐藤さんって、面白いね。
ノート忘れちゃうとか。
でっかい独り言、言ったり。
俺のことアイドル的存在って言ったり」

「…っ、」

「俺ね、アイドルみたいに
キラキラしてないんだよね。
実は腹黒いし。
好きな子が弱ってるとこで告白したり。
まぁ、フラれちゃったけど」

「……」


それって…やっぱり…


「…ね？アイドルじゃないでしょ？
フラれて、カッコ悪いんだよ？」


隣に座って、俺も休憩ー。だなんて

ちょっとのんびりした声。


全然かっこ悪くないし、

腹黒いの、私も同じ。

玉森さんがフラれてよかったって

一瞬でも思ってしまったから。


だけど、寂しそうに笑ってる彼を見たら

何も言えなくて。


片思いが辛いの、私もわかるから。


「…それでも、玉森さんはかっこいいです。
私の好きな人です」


ーーー 私の好きな人。


言葉にしたら、急に涙が溢れた。


「…っ、ごめんなさい、」

「…もーめちゃくちゃだな。
Aちゃんは」

「…！」


そう言って、私の頭をポンポンと

優しく撫でた。


「…気持ち、ありがとう。嬉しいよ」

「……」

「…俺ね、フラれたばかりだから
まだ、気持ちの整理ついてないんだ。
ね、意外と女々しいでしょ？」

「…っ、」


ブンブン頭を横に振った。


「あはは、ありがとう。
Aちゃん優しいね。
千賀の言う通りだ」

「…玉森さん」

「…まだ整理ついてないけど
Aちゃんがよければ
友達から始めませんか？
アイドルなんかよりずっといいと思うけど」

「…っ、！///」

「…って、俺が言う立場じゃないか。
ほら、行こ。サボってるのバレちゃうよ」



玉森さんはそう言って私の手を引いた。



end…★

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