4.Ki ページ4
***
T『俺も好き。』
いつもと何ら変わりないフワッとした笑顔。
たまの溢したセリフを咀嚼するのに、時間がかかってしまった。
『……何だよ、急に。』
この状況で、このタイミング。
その言葉の意味についてすぐに理解していたのに、わざとはぐらかした。
T『…みつのことが、好きなんだ。』
たまの顔を見つめていると、念押しするように、ゆっくり言葉を紡がれる。
『…っ、』
見つめた瞳に、俺の視線が絡む。
熱の篭ったたまの瞳に囚われて、逃げることもできない。
『…たま…、俺は、』
T『言わないで。わかってるから。』
お前の気持ちに応えることはできないと、伝えたかったのに、ふわっと笑うたまの笑顔と、力強く返された言葉に、何も言えなくなる。
ゆっくり近付くたま。
お互いの距離がなくなるにつれ、たまの笑顔もフッと消えていく。
伸ばされた手に、俺の手が重なる。
両手同士をキュッと握られたまま、上向く瞳にたまの真剣な熱い視線が降り注ぐ。
T『でも、俺のことも見てほしい。』
その声音からも震える言葉からも、一切の冗談や普段のおちゃらけも感じられない。
ただただ、好きだと言うたまの気持ちが、俺に向かって真っ直ぐに届く。
失恋したと思った途端に、たまからの告白。
まるでどこかの恋愛ドラマみたいな。
それでも長年秘めてきた想いはそう簡単に消えない。
たまの手に掴まれたまま、無言で頷くのが精一杯だった。
揺れる車内からぼうっと流れる景色を見つめる。
藤ヶ谷への失恋とたまの告白は、同時に俺の元へとやってきた。
こうやってふとした瞬間に、思い出されてしまう。
未だに切なく震える心は、まだあいつを忘れていない証拠。
悟ったようにキュッと腰に回る腕が、まるで俺を慰めているかのようで。
T「…みつ、」
ぽつりと呟いた、たまの俺を呼ぶ声がまた切なくて。
「…たま…そろそろ、」
言い終わってしまう前に、俺よりも先に、
T「充電おーわり!(笑)」
それ以上、俺に言わせまいと、自らそう言って離れていってしまう。
頭では、早く離れてほしいとか、あいつに見られたくないとかイチイチ考えてしまうのに。
いざ、そうやって離されてしまえば…
何故かぽっかりと心にも穴が空いてしまっているように感じて。
……図々しくも淋しいとか、思ってしまうんだ。
いくらこうやって想っていても、この先望む展開はありえないんだから。
早く…早く、忘れたいんだよ、俺は。
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蜜柑(プロフ) - いゆらんさん» いゆらんさん、こんばんは!またまたお返事遅くてごめんなさい(^◇^;)太輔さんのウジウジターンがちょっとウザいですが、もう早くみっちゃん振り回して欲しいです(もはや、願望)みっちゃんもこれから揺れまくります!笑 (2021年9月10日 21時) (レス) id: 8d3125b57e (このIDを非表示/違反報告)
いゆらん(プロフ) - おはようございます♪玉ちゃんの牽制がわかりやすく太輔さんの落ち込みが堪りません^ ^そして、みっくんの太輔さんに対する切なさが愛おしく続きが楽しみでワクワクしております。更新をお待ちしておりますm(_ _)m (2021年8月12日 7時) (レス) id: 489ddd4174 (このIDを非表示/違反報告)
蜜柑(プロフ) - ひろさん» ひろさん、こんにちは!とっても遅くなってごめんなさい(^◇^;)本当に対照的…専らたまちゃんの甘々攻撃が続いてますが、太輔さんも頑張ります!笑でもやはりきっかけはみっちゃんからかもしれないですね…((*゚∀゚)) (2021年8月8日 11時) (レス) id: 8d3125b57e (このIDを非表示/違反報告)
蜜柑(プロフ) - やや子さん» やや子さん、お返事遅くなってごめんなさい(^◇^;)あのシーンはほぼ行き当たりばったりですね笑ご期待に応えられるかわかりませんが、とことん拗らせてみますね笑 (2021年8月8日 11時) (レス) id: 8d3125b57e (このIDを非表示/違反報告)
ひろ(プロフ) - 蜜柑様、初めまして。読める作品は殆ど拝見しました! 色んなお話があって、とても楽しませて頂いています!「奪い合い」、素直になれないFさんと対照的にめちゃめちゃ素直なTさんに揺れるKさんの気持ちが分かりすぎて、続きはどうなるのか楽しみです(o^^o) (2021年7月28日 21時) (レス) id: eef22d22d3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:蜜柑 | 作成日時:2020年11月1日 11時