奪い愛

１１.Ｋｉ ページ11

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楽屋の端っこ、いつものスペースに身を置きながら、その隣で黙々とゲームをやり込む玉森を横目で観察する。


Ｔ「みつもやる？」


こてんと小首を傾げながらズルズルと寄っかかってくるたま。
最近流行のあざとかわいいとまでは言わないけれど、そうゆうふとした仕草は俺じゃなくても、きっとドキッとしてしまうレベルだと思う。


「……わかんねぇし。たまやりなよ。」


スラッとした図体をこれでもかと縮めながら、俺を覗き込みゲーム機を手渡してくるから、それをそのまま押し返した。
重なる指先に、妙に意識してしまう。
キュッと摘まれたまま、中々離してくれない。


「……たま？」


Ｔ「…小さいなぁ。」


重ねた指先をマジマジ見ながら、今更そんなこと…感慨深く言うもんだから、無言でその頭を軽く叩いた。


Ｔ「ちょっと！違う、褒めてんだから…！」


「そんな感情のこもった小さいなぁは、いらないんだよ。」


言いながら、掴まれた指先を小さく払う。


Ｔ「も〜〜、みつ…それは可愛いね、って意味なんだから素直に喜んでよ。」


「か…っ、(わいいって、)」


…何だこれ。
もう甘い空気が凄く苦しい。


たまの付き合って発言から数日。
連日の甘々攻撃は、不覚にもちゃんと効いているらしい。
忘れると覚悟を決めてしまえば、緩んだ心は幾度となく簡単にそれを取り入れようと心を開いていく。


(……きゅん、の大渋滞…？)


なんて。
小っ恥ずかしい。


たまの甘〜い攻撃を避けつつ、次の収録の企画に目を通す。
フッと陰る頭上に、こっそりと目配せしながら顔を上げれば、俺とたまの前に二階堂が立ち塞がる。


「…なに、どした？」


無言で威圧的に見下ろされたそれに、ちょっと萎縮してしまう身体。
思わず寄っかかるたまの腕を掴んでしまう。
花開いたようなたまの表情はとりあえずスルーだ。
単に、何かに捕まりたくなっただけと言うくだらない理由だ。


ズイッと前のめりに腰を屈める二階堂。


２「……たまとみつって、最近なに？鈍感な俺でもわかるくらい、目敏く一緒にいるよね？」


にかの多分、思ったことそのままな疑問に、思い悩む。
思い悩む俺の思考回路を余所に、隣から心底嬉しそうにたまの弾んだ声が聞こえてくる。


Ｔ「みつとはお付き合い中。こーゆう関係！」


「っ…はっ？！」


言ったそばから、ほっぺに生暖かい感触。
チュッと生々しい音も相まって、あ、今ほっぺにチューされたんだとぼんやりと自覚した。

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