５.Ｋｉ ページ5
＊＊＊
(…なんか…ふわふわする…)
肌に突き刺さる空気は、ヒヤッと震えるような寒さなのに、背中に感じる温もりはじんわりと暖かい。
「…っん、」
それでもだんだんと覚醒する意識では、やっぱり寒さの方を敏感に感じ取ってしまう。
「…さみぃ…、」
小さく呟き、コロンと寝返りを打てば、ギュッとその鼻を押し潰された。
瞼を擦りながら、その潰れた鼻のせいではっきりと意識が覚醒する。夢心地の世界から浮上して、ぼんやりとする視界をキョロキョロと動かす。
遠くの視界に映る、白い天井。
カーテンの隙間から淡い光が差し込んでいる。
そんなおれの視界に、遠慮なくヒョコッと遮ってくるヤツ。
Ｆ「あ、起きた？(笑)」
「…ふじがや…、」
寝起きブスなおれと違って、どこまでもイケメンでどこまでも爽やかな笑顔。
どこか憎々しいけど、そこがやっぱりカッコいい…と思う。
Ｆ「ほんと、気持ち良さそうに寝るよね(笑)」
「…ごめん…、」
藤ヶ谷の苦笑いに、思わず謝ってしまう。
(……今日は、ベッドシーン…)
思いながら、またキョロッと視線を動かして、最後に藤ヶ谷を見つめたらクスッと笑っておれの前髪に触れる。
Ｆ「謝ってほしい訳じゃないけど、おれの前以外ではあんまりしないでほしいなぁって(苦笑)」
サラッとした手付きから、そのまま前髪を上げられて露わになったオデコに小さく唇が落とされる。
「…っ、//」
余りにも慣れない甘い空気に、肩まで掛けてた布団に潜り込んだら、頭上でふははって嬉しそうに笑う藤ヶ谷の声が響いた。
布団に包まったまま、ギシッと広いベッドが揺れる。
見慣れないシーツや、布団の感触からして…多分ここは、藤ヶ谷の部屋だ。
こっそり布団をめくり、両目だけ開放すれば、優しげにこっちを見つめる藤ヶ谷の瞳とぶつかる。
まさかそんな瞳でおれを見てるなんて思わないから、慌ててまた引っ込もうとしたら、それよりも前に藤ヶ谷が口を開いた。
Ｆ「今日、このまま一緒に行くでしょ？」
まるで、いつも交わしているようなセリフ。
リアルではありえないそれに、ここでは当たり前に交わされる言葉。
(今日の仕事って…、)
ぼんやりと思考を動かしながら、やっと頭を上げて、身体を起こす。
フカフカの枕を背もたれに、腰を上げた藤ヶ谷を見つめながら答える。
「……今日って、何だっけ？」
そんなおれの言葉に、目を丸くする藤ヶ谷。
だってこっちのことは、まだ全然知らない。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1045人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ちび(プロフ) - めっちゃ楽しすぎました、パララブ不思議な世界観めっちゃ好きでした、長い間2人外にいたから、楽屋での5人は心配だったでしょうね。続妄想してます。楽しい話でした💓❤️ラブラブ藤北可愛いすぎました。 (2023年4月20日 23時) (
レス) id: ff59837987 (このIDを非表示/違反報告)
ひろ(プロフ) - はじめまして。先程、こちらの昨日を読ませていただきました。思いもかけない展開に、ドキドキして一気に読み進んでしまいました。想像出来ない展開、すごく面白かったです(o^^o) これから他の作品も読ませていただきます(o^^o) (2021年6月24日 22時) (レス) id: 879c96607e (このIDを非表示/違反報告)
蜜柑(プロフ) - くらげさん» くらげさん！！お返事遅くなりごめんなさい(^◇^;)私も愛されまくりのみっちゃん大好物です笑私もくらげさんのお話全力待機してまーす！！いつもありがとうございます！ (2020年8月5日 17時) (レス) id: 8d3125b57e (このIDを非表示/違反報告)
くらげ(プロフ) - 蜜柑さん、完結お疲れ様でした！この2人はこれから先もずっとこんな感じでラブラブなんだろうと思わせて貰えてとても幸せな気持ちになりました！ありがとうございます(*´ω`*)明日〜も楽しみにしておりますし総受けも是非読みたいです！愛されKさん幸せすぎます(〃ω〃) (2020年8月2日 1時) (レス) id: b17685444c (このIDを非表示/違反報告)
蜜柑(プロフ) - たまちゃんさん» こんばんは！本当ですか？！(^◇^;)ひとりでもいらっしゃるなら嬉しいです！！ (2020年7月30日 21時) (レス) id: 8d3125b57e (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：蜜柑
| 作成日時：2020年1月26日 19時
