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触れ合う肌の熱を感じながら、藤ヶ谷の胸に埋もれる。
F「ん…、寒い?」
モゾモゾと体勢を変えるおれを、少し見下ろしながら、掛け布団をグッと引っ張って掛けてくれる。
別に、寒いわけじゃないけど。
ただ、離れたくないだけ。
恥ずかしいから、死んでも口には出来ないけど。
「…ちょっと思い出しただけ。」
F「…なにを?」
ウトウトしていた藤ヶ谷のまぶたが不思議そうにぱっちりと目を見開いて、おれに視線を落としてくる。
何となくその気配を感じとりながら、藤ヶ谷の胸の中でグリグリと頭を擦り付ける。
F「ちょっとっ(笑)くすぐったいから…っ、」
クスクスと肩を揺らして笑う藤ヶ谷。
それに自分も嬉しくなって、また自然と笑みが溢れる。
いつかの光景と同じ。
いつも目を開けると、ただただ幸せの瞬間。
「おれの…、」
F「…ん?」
小さく口を開いたおれを見て、溢れる笑い声を小さくして止めていく。
こうゆう何でもない話を聴き取ろうと耳を傾けてくれるところは、全然変わらない。
「ログインの瞬間は、今みたいに幸せな瞬間からスタートするんだ…、」
恥ずかしさも相まって、柄にもなく小さく小さく呟いた言葉。
こんなこと、言うつもりもなかったのに。
ただ、幸せの瞬間と重なってしまうから。
自然と口を突いて出てしまう。
F「……、」
「…ふじがや?」
恥ずかしいから、せめて少しくらい反応してくれてもいいのに…
何も言わないから気になって、そっと藤ヶ谷の方へ上向く。
ちょっとだけ戸惑いに揺れている瞳。
言葉に詰まったような藤ヶ谷の反応に、言うんじゃなかったと少しだけ後悔する。
「…違う、ごめん。忘れて?」
藤ヶ谷から視線を逸らして、埋もれていた胸を優しく押し返す。
そんな胸元に触れたおれの手に、ギュッと藤ヶ谷の手が重なる。
F「…、っごめん…おれこそ、違うから。」
「……?」
優しく突き返した胸に、また引き込まれてしまう身体。
さっきよりも幾分か強い力で、ギュッと抱きしめられる。
F「……北山といられたら、もう何でもいいよ。」
そう言って、ぎゅーっと締め付けるように抱き留められたまま、ただ切なく小さく確かめるように吐き出された。
藤ヶ谷の胸に押し付けられて、その表情が見てみたいのに、見えない。
それでも、力強い腕とか、震える節々のセリフとか…たったそれだけでも、愛しいと思うから。
藤ヶ谷の胸の中で気付かれないように、小さく微笑んだ。
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ちび(プロフ) - めっちゃ楽しすぎました、パララブ不思議な世界観めっちゃ好きでした、長い間2人外にいたから、楽屋での5人は心配だったでしょうね。続妄想してます。楽しい話でした💓❤️ラブラブ藤北可愛いすぎました。 (2023年4月20日 23時) (レス) id: ff59837987 (このIDを非表示/違反報告)
ひろ(プロフ) - はじめまして。先程、こちらの昨日を読ませていただきました。思いもかけない展開に、ドキドキして一気に読み進んでしまいました。想像出来ない展開、すごく面白かったです(o^^o) これから他の作品も読ませていただきます(o^^o) (2021年6月24日 22時) (レス) id: 879c96607e (このIDを非表示/違反報告)
蜜柑(プロフ) - くらげさん» くらげさん!!お返事遅くなりごめんなさい(^◇^;)私も愛されまくりのみっちゃん大好物です笑私もくらげさんのお話全力待機してまーす!!いつもありがとうございます! (2020年8月5日 17時) (レス) id: 8d3125b57e (このIDを非表示/違反報告)
くらげ(プロフ) - 蜜柑さん、完結お疲れ様でした!この2人はこれから先もずっとこんな感じでラブラブなんだろうと思わせて貰えてとても幸せな気持ちになりました!ありがとうございます(*´ω`*)明日〜も楽しみにしておりますし総受けも是非読みたいです!愛されKさん幸せすぎます(〃ω〃) (2020年8月2日 1時) (レス) id: b17685444c (このIDを非表示/違反報告)
蜜柑(プロフ) - たまちゃんさん» こんばんは!本当ですか?!(^◇^;)ひとりでもいらっしゃるなら嬉しいです!! (2020年7月30日 21時) (レス) id: 8d3125b57e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:蜜柑 | 作成日時:2020年1月26日 19時