３２.Ｆ ページ32
人通りが少ないと言ってもここは局の廊下だ。
時間的にもそろそろヤバイ。
「ね、北山。…そろそろ泣き止んでよ(笑)」
そう言って、北山の目尻を拭いながら上向く北山を見つめる。その言葉に、ムッと唇を尖らせて横向きに離れていく視線。
Ｋｉ「……泣いてねぇし。」
ちょっと素っ気ない態度に、あの頃の北山と重なる。
それに嬉しくなって、今までの時間全部、一気に飛び越えて戻ったような感覚におれの心も軽くなっていく。
(…昨日まで、あんなに落ち込んでいた…のに、)
本当、現金すぎる。
それでも、今目の前に…おれの腕の中に北山がいるという現実。
「……信じられなくて、どうにかなりそう。」
Ｋｉ「…なんの話だよ…？」
無意識に溢したセリフに、目敏く北山が反応してムッとしたままおれを見つめ返してくる。
どこか不機嫌を装っていても、結局そんな仕草ひとつひとつが愛おしい。
「いや、幸せだなって。」
Ｋｉ「…っ、…はっ？！//」
おれの胸の中で慌てふためき、逃げようとする北山を無理やりギュッと押さえ込む。
すっぽりと納まる体格に、恥ずかしげな態度。
何もかもが、リアルな出来事。
嬉しくて、どこか可笑しいのかもしない。
目の前に浮かぶ無防備な唇に、チュッと軽く自身の唇を押し付ける。
Ｋｉ「っなぁ…ッ…//」
あまりの驚きように、こっちが苦笑してしまう。
こんなこと、日常茶飯事だった。
堪えきれずに揺れる肩に、無意識に笑い声が漏れていると気付く。
呆然と立ち尽くす北山を横目に、早く戻ろうと急かせば、大人しくおれの後ろをひょっこりと付いて歩いてくる。
欲を言えば、北山からキスのお返しでもあればテンションあがるけど。
気まずそうに、それでもおれのシャツの裾を掴んで離さない北山の姿に…
自然と笑みが溢れていく。
Ｋｉ「…なに笑ってんだよっ！//」
相変わらず、ムッとしたような不機嫌な北山の声が届く。
「何でもないよ(笑)」
ただ…、嬉しくて幸せなだけなんだ。
君とこうやって、向き合うことが。
小さくブツブツと文句を呟く北山と、ただこうやって歩いて。
落ち着く雰囲気に、流れる穏やかな時間。
もう一度、味わうことのできる瞬間に。
ホッと…小さく胸を撫で下ろした。
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ちび(プロフ) - めっちゃ楽しすぎました、パララブ不思議な世界観めっちゃ好きでした、長い間2人外にいたから、楽屋での5人は心配だったでしょうね。続妄想してます。楽しい話でした💓❤️ラブラブ藤北可愛いすぎました。 (2023年4月20日 23時) (
レス) id: ff59837987 (このIDを非表示/違反報告)
ひろ(プロフ) - はじめまして。先程、こちらの昨日を読ませていただきました。思いもかけない展開に、ドキドキして一気に読み進んでしまいました。想像出来ない展開、すごく面白かったです(o^^o) これから他の作品も読ませていただきます(o^^o) (2021年6月24日 22時) (レス) id: 879c96607e (このIDを非表示/違反報告)
蜜柑(プロフ) - くらげさん» くらげさん！！お返事遅くなりごめんなさい(^◇^;)私も愛されまくりのみっちゃん大好物です笑私もくらげさんのお話全力待機してまーす！！いつもありがとうございます！ (2020年8月5日 17時) (レス) id: 8d3125b57e (このIDを非表示/違反報告)
くらげ(プロフ) - 蜜柑さん、完結お疲れ様でした！この2人はこれから先もずっとこんな感じでラブラブなんだろうと思わせて貰えてとても幸せな気持ちになりました！ありがとうございます(*´ω`*)明日〜も楽しみにしておりますし総受けも是非読みたいです！愛されKさん幸せすぎます(〃ω〃) (2020年8月2日 1時) (レス) id: b17685444c (このIDを非表示/違反報告)
蜜柑(プロフ) - たまちゃんさん» こんばんは！本当ですか？！(^◇^;)ひとりでもいらっしゃるなら嬉しいです！！ (2020年7月30日 21時) (レス) id: 8d3125b57e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：蜜柑
| 作成日時：2020年1月26日 19時
