３１.Ｋｉ ページ31
小さく呟いた言葉に、目敏く藤ヶ谷が反応する。
驚きに瞳を丸くして、怒ったような口調で藤ヶ谷がおれを睨み付けてきた。
Ｆ「…ねぇ、今の本気で言ってるわけじゃないよね？」
藤ヶ谷こそ、何を言ってるんだ。
「……これがおれの本音だけど。」
Ｆ「なにそれ。北山、好きでも何でもないおれのこと、弄んでたわけ？」
口早くペラペラと続ける藤ヶ谷の言葉に、だんだんと焦ってくる。
話の内容が見えず、あらぬ方向に進んでいるような…
「っ、ちょっと待って…っ、その…、」
あれ…、もしかしておれ、本気で変な勘違いしてるのか？
藤ヶ谷は、あの日の続きに戻りたいって、そう言ってんじゃないの？
Ｆ「………、」
「…藤ヶ谷…？」
呆れたような溜息が、深くおれの頭上に降り注ぐ。
眉間を歪ませて、不機嫌な物言いの藤ヶ谷が、無言のままジッとおれを見つめている。
そうゆう場でもないくせに、その瞳が恋人だった頃と重なって、じわじわとおれの全身が震える熱に支配されていく。
それに耐え切れず、グッと顔面を押し返そうとしたら、その手を藤ヶ谷の手が掴んだ。
指先に走る藤ヶ谷の冷たい指先の感触。
自分だけこんな身体で、急激な羞恥心に藤ヶ谷から着き離れようと身を捩れば、捕まった指先にちゅうって生暖かい感触が混じって、驚きに身体が固まっていく。
目の前で指先を吸われるという余りの繰り広げられる光景に、唖然とする。
飲み込んだ言葉は…、藤ヶ谷の震える言葉に重なった。
Ｆ「……北山のことが好きなんだけど。おれと付き合って。」
それは…どこかで聞いたセリフ。
ログインしたその日のオープニングと、同じ言葉。
「……ゲームじゃなくて？」
Ｆ「ゲームじゃなくて。」
「…本気で？」
Ｆ「本気で。……好きって今もさっきも、言ったじゃん。」
藤ヶ谷が…おれに告白…？
なにそれ。そんな夢みたいなこと、ある？
疑り深い心と素直に嬉しい心がぐちゃぐちゃに絡み合う。自身のそんな心に付いていけず、頑なに口も開けない。
じんわりと熱くなるまぶたに、今、泣きそうになってる自分を意識して慌ててキュッと両目を閉じた。
それでも間に合いそうにないそれに、冷たい指先がおれのまぶたに触れる感触がする。
優しく拭ってくれる仕草に、また目が熱くなった。
Ｆ「ゲームじゃないよ、北山。」
おれに言い聞かせるように藤ヶ谷の言葉が届く。
Ｆ「…好きだよ、北山。」
度重なる好きの言葉に必死でコクコクと頷いた。
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ちび(プロフ) - めっちゃ楽しすぎました、パララブ不思議な世界観めっちゃ好きでした、長い間2人外にいたから、楽屋での5人は心配だったでしょうね。続妄想してます。楽しい話でした💓❤️ラブラブ藤北可愛いすぎました。 (2023年4月20日 23時) (
レス) id: ff59837987 (このIDを非表示/違反報告)
ひろ(プロフ) - はじめまして。先程、こちらの昨日を読ませていただきました。思いもかけない展開に、ドキドキして一気に読み進んでしまいました。想像出来ない展開、すごく面白かったです(o^^o) これから他の作品も読ませていただきます(o^^o) (2021年6月24日 22時) (レス) id: 879c96607e (このIDを非表示/違反報告)
蜜柑(プロフ) - くらげさん» くらげさん！！お返事遅くなりごめんなさい(^◇^;)私も愛されまくりのみっちゃん大好物です笑私もくらげさんのお話全力待機してまーす！！いつもありがとうございます！ (2020年8月5日 17時) (レス) id: 8d3125b57e (このIDを非表示/違反報告)
くらげ(プロフ) - 蜜柑さん、完結お疲れ様でした！この2人はこれから先もずっとこんな感じでラブラブなんだろうと思わせて貰えてとても幸せな気持ちになりました！ありがとうございます(*´ω`*)明日〜も楽しみにしておりますし総受けも是非読みたいです！愛されKさん幸せすぎます(〃ω〃) (2020年8月2日 1時) (レス) id: b17685444c (このIDを非表示/違反報告)
蜜柑(プロフ) - たまちゃんさん» こんばんは！本当ですか？！(^◇^;)ひとりでもいらっしゃるなら嬉しいです！！ (2020年7月30日 21時) (レス) id: 8d3125b57e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：蜜柑
| 作成日時：2020年1月26日 19時
