24.Ki ページ24
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「……なんだよ、あんまジロジロ見んなって。」
正面から感じる暑苦しい視線に、雑誌に落とした視線を渋々あげる。
バチっとかち合う視線に、たまが不思議そうに呟いた。
T「いや、最近寝なくなったなって。」
「…そうか?」
T「そうだよ、しょっちゅう寝てたじゃん。」
恥ずかしいくらいにドロドロに甘やかされていた。
ただ、その世界から身を引いただけ。
寝不足だった原因もなくなってしまえば、あっけなく日常は戻ってくる。
T「…ゲーム、やめたんだ?」
「まぁ、」
たまの当たり障りない問いに、曖昧に答えながら頷く。
藤ヶ谷にああやって言われてしまえば、続けることなんて出来ない。
自分の欲を満たすだけのゲームなんて…元々、虚しいことなんだと気付いただけ。
ただ。
2「がや、ごめんって。」
F「…別にお前が謝ることでもないでしょ。」
ここ数日のリアルのアイツは、益々重い空気を漂わせている気がした。
T「…重っ、」
たまのド直球な言葉は、今の楽屋の雰囲気をそのまま現していた。
ピリピリした楽屋の空気がピシッと張り詰める。
目敏く反応した藤ヶ谷が、徐に腰をあげて近付いて来る。
考えるよりも先に、身体が反応していた。
たまに向かう藤ヶ谷の肩を掴む。
F「…なんだよ。」
「あー…、っと、ちょっと…相談?」
F「は?」
藤ヶ谷の威圧的な態度に一瞬怯んだけど、この場を収めるためには、どうこう言ってる場合でもない。
T「みつ、次おれとだから早くしてね。」
この一触即発のシーンの原因のくせに、呑気に手を振ってニコッと笑うたま。
ついさっき放ったセリフなんて、忘れてるみたいにそんなこと言うからおれも藤ヶ谷も拍子抜けする。
少しだけ和らいだ空気を纏う藤ヶ谷にホッとしながら、その肩を押す。
最近の藤ヶ谷を、放っておけるわけもなく。
どうせなら話でもと、楽屋の外へと連れ出した。
押した背中そのままに、藤ヶ谷が面倒くさそうに口を開いた。
F「話って、なに?」
振り向きもせず、歩幅は変わらずに歩く藤ヶ谷の後を小走りに追いかける。
やっと追い付いた所で、クルッと初めて藤ヶ谷がおれの方に振り向いた。
睨み付けるようなキツイ視線に、ヒュッと息が詰まる。無意識にじんわり溢れる唾液を小さく飲み込む。
ピリピリとした空気の中、諦めたように藤ヶ谷がおれから目線を外していく。
F「…別に何でもないから。」
まだ、何も言ってないのに藤ヶ谷が小さく呟いた。
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ちび(プロフ) - めっちゃ楽しすぎました、パララブ不思議な世界観めっちゃ好きでした、長い間2人外にいたから、楽屋での5人は心配だったでしょうね。続妄想してます。楽しい話でした💓❤️ラブラブ藤北可愛いすぎました。 (2023年4月20日 23時) (レス) id: ff59837987 (このIDを非表示/違反報告)
ひろ(プロフ) - はじめまして。先程、こちらの昨日を読ませていただきました。思いもかけない展開に、ドキドキして一気に読み進んでしまいました。想像出来ない展開、すごく面白かったです(o^^o) これから他の作品も読ませていただきます(o^^o) (2021年6月24日 22時) (レス) id: 879c96607e (このIDを非表示/違反報告)
蜜柑(プロフ) - くらげさん» くらげさん!!お返事遅くなりごめんなさい(^◇^;)私も愛されまくりのみっちゃん大好物です笑私もくらげさんのお話全力待機してまーす!!いつもありがとうございます! (2020年8月5日 17時) (レス) id: 8d3125b57e (このIDを非表示/違反報告)
くらげ(プロフ) - 蜜柑さん、完結お疲れ様でした!この2人はこれから先もずっとこんな感じでラブラブなんだろうと思わせて貰えてとても幸せな気持ちになりました!ありがとうございます(*´ω`*)明日〜も楽しみにしておりますし総受けも是非読みたいです!愛されKさん幸せすぎます(〃ω〃) (2020年8月2日 1時) (レス) id: b17685444c (このIDを非表示/違反報告)
蜜柑(プロフ) - たまちゃんさん» こんばんは!本当ですか?!(^◇^;)ひとりでもいらっしゃるなら嬉しいです!! (2020年7月30日 21時) (レス) id: 8d3125b57e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:蜜柑 | 作成日時:2020年1月26日 19時