3.Ki ページ3
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ゆらゆらと揺れる意識に、大きく揺れる身体。
浮上する意識の片隅で、ヤバイと警鐘を鳴らしている。
そうやって危険だと認識してしまえば、賢いもので、思考につられるまま身体も同じように反応している。
寝心地良いそれからガバッと身体を起こす。
T「っくりした〜〜」
視界に苦笑しながら後退するたまが映り込む。
少しだけ視線を動かして、楽屋に置かれた時計を意識的に確認してまだ余裕ある時間帯にひとまずホッとする。
「……起こしてくれた?」
おれのそれに流すように聞きながら、その場に腰を落とすたま。投げかけた言葉に、嫌々な表情を浮かべて言葉尻キツくたまが、ため息と共に吐き出した。
T「押し付けられた。みつの一番近くにいたし。…失敗したわ。」
「ごめんって。今日はそんなでもなかったでしょ?」
T「まぁ…、それでも怖いから(苦笑)」
無自覚と言葉にしてしまえば可愛らしい響きでもあるけれど、内容はそこまで可愛いものじゃない。
時々届くメンバーの声に、苦笑いして謝っていたのはもう何年も前の話だ。
どうやらおれの寝起きは最上級に悪いらしい。
T「……最近また楽屋で寝るの多くない?寝不足?」
「うーん…まぁ。」
歯切れ悪く答えれば、おれを起こすという義務を課せられ納得いかないたまの視線が、痛いくらいに突き刺さってくる。
たまの無言で訴えてくる表情に、よくよく考えてみたら別に隠すことでもないと自分に言い聞かせた。
起こした身体をまたゴロンとソファへと預ける。
「…最近、ちょっとしたゲームにハマってる。」
真っ白い天井を見上げながら、チラッとたまの顔を伺う。
おれの言葉に、驚き隠さずまるっと、不思議そうに凝視している。
ちょっと気に食わない反応に、ムッとしたまま返す。
「……なんだよ。」
T「いや、みつがゲームにハマるの珍しくない?」
「おれだってゲームくらいするよ?」
T「いやいやいや…いつもサラッとしかやらないじゃん。」
まぁ、確かに。
たまとか、にかとかと比べればそんなでもないけど。
よくよく考えてすんなりと納得している自分に、小さく苦笑する。
辞めることなく笑っていたら、置いてけぼりのたまの表情がまた険しくなっていく。
T「なに独りで納得してんの。こっちは全然何にも解明されてないし。」
ゲーム好きのたまが身を乗り出し、おれの頭上に陰ってくる。
「……お前には、必要ないよ。」
これは確かにおれだけのゲームだ。
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ちび(プロフ) - めっちゃ楽しすぎました、パララブ不思議な世界観めっちゃ好きでした、長い間2人外にいたから、楽屋での5人は心配だったでしょうね。続妄想してます。楽しい話でした💓❤️ラブラブ藤北可愛いすぎました。 (2023年4月20日 23時) (レス) id: ff59837987 (このIDを非表示/違反報告)
ひろ(プロフ) - はじめまして。先程、こちらの昨日を読ませていただきました。思いもかけない展開に、ドキドキして一気に読み進んでしまいました。想像出来ない展開、すごく面白かったです(o^^o) これから他の作品も読ませていただきます(o^^o) (2021年6月24日 22時) (レス) id: 879c96607e (このIDを非表示/違反報告)
蜜柑(プロフ) - くらげさん» くらげさん!!お返事遅くなりごめんなさい(^◇^;)私も愛されまくりのみっちゃん大好物です笑私もくらげさんのお話全力待機してまーす!!いつもありがとうございます! (2020年8月5日 17時) (レス) id: 8d3125b57e (このIDを非表示/違反報告)
くらげ(プロフ) - 蜜柑さん、完結お疲れ様でした!この2人はこれから先もずっとこんな感じでラブラブなんだろうと思わせて貰えてとても幸せな気持ちになりました!ありがとうございます(*´ω`*)明日〜も楽しみにしておりますし総受けも是非読みたいです!愛されKさん幸せすぎます(〃ω〃) (2020年8月2日 1時) (レス) id: b17685444c (このIDを非表示/違反報告)
蜜柑(プロフ) - たまちゃんさん» こんばんは!本当ですか?!(^◇^;)ひとりでもいらっしゃるなら嬉しいです!! (2020年7月30日 21時) (レス) id: 8d3125b57e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:蜜柑 | 作成日時:2020年1月26日 19時